広告に替え歌を利用したいのですが、気を付けるべきことはありますか?
歌詞は元の歌詞のパロディではなく、自分で1から作詞しましょう。下品な歌詞や、曲のイメージを損なう歌詞はやめましょう。
替え歌と広告動画
「替え歌」は①メロディはほとんどそのままに②歌詞を変えて歌われる歌のことです。もともとあるメロディを利用して、新しい言葉を歌詞に乗せて伝えることができるので、耳に残りやすく、コマーシャルなどでよく用いられます。
替え歌の法的な問題点
替え歌は、主に著作権法上の問題が生じます。歌は①メロディ(曲)の著作権と②歌詞の著作権が組み合わさって成立する、結合著作物であるとされています。つまり、歌を利用する場合には、メロディと歌詞両方の著作権に気を付けなければならないのです。
民謡など、明らかに著作権が消滅しているものについては別として、今回の質問は流行歌の替え歌ですので、著作権が当然あるものとして考えなければなりません。
メロディについて
まずメロディについてですが、これは替え歌の特性上、そのまま使用することになりますので、使用するためには許可が必要になるのが原則です。
許可を得る方法ですが、いまの日本の流行歌の多くはJASRACが著作権を管理しており、JASRACから許諾を得る必要があります。YouTubeに替え歌を含む動画をアップロードする際には、YouTubeがJASRACと包括契約を締結していますので、個別に許諾を得る必要はありません。なお、念のため、使用しようとしている曲がJASRACの管理する曲かどうかをJASRACのサイトで確認するようにしてください。
歌詞について
次に歌詞ですが、これは完全に変えてしまった場合と、元の歌詞の特徴を残している場合とで異なります。
完全に変えてしまった場合には、元の歌詞の著作権者の許諾は必要ありません。ただし、改めて付けた歌詞が下品なものであったり、イメージとあまりにかけ離れたものであったりする場合、作曲者の名誉または声望を害するとして、著作者人格権侵害と判断され、違法な行為であるとされる可能性があります。
元の歌詞の特徴を残している場合、著作権の一つである翻案権と、著作者人格権の一つである同一性保持権の侵害になります。その場合、無断での使用は違法となり、できないことになります。
替え歌を商用利用する際に気を付けるべきこと
替え歌は非常に有効な手段であり、単純な楽しさもあることから、適法な範囲で行いたいという方も多くいるでしょう。流行歌については、以下の手順を守って行うようにしてください。
① メロディについての許諾を得ましょう。YouTubeの場合、JASRACが管理している楽曲かどうかを確認しましょう。
② 歌詞を完全に変える方が著作権法上の問題は生じません。元の歌詞の特徴を残さず、自分で作詞することが必要です。
③ 下品な替え歌、イメージを壊す替え歌はNGです。
まとめ
替え歌と著作権は、著作権の中でも複雑な事案になることが多い類型です。広告動画を作成された場合には、公開前に、著作権法の専門家のチェックを受けることをお勧めします。
※この記事は、2024年1月11日に作成されました。