広告審査の流れと気を付けるべきポイントを教えて下さい
広告審査を行う際には、景品表示法をはじめとする関連法令、ガイドライン・公正競争規約を参照すること、また行政処分事例を踏まえ、“過度に慎重になりすぎず”適法性を判断することが大切です。
目次
(広告制作部門による)広告の企画・作成(初期審査)
広告制作部門が広告を企画・制作する初期段階から、法務部などの審査部門の意見を取り入れることで、広告審査(狭義)での指摘による“広告制作のやり直し”、といった無駄を省けます。広告審査体制を整備する際、広告企画・制作の初期段階を「初期審査」と位置づけ、審査部門を組み込むよう検討してみてください。
(狭義の)広告審査
法務部などの審査部門が行う(狭義の)広告審査が、広告審査の中心となります。その際、
景品表示法をはじめとする関連法令のみならず、ガイドライン・公正競争規約を参照すること、また、実際の行政処分事例などを踏まえ、“過度に慎重になりすぎず”適法性を判断することが大切です。
以下、全ての商品・サービスに適用される景品表示法を中心に説明します。
景品表示法だけでなく、ガイドラインや公正競争規約も確認しよう
景品表示法第5条は「不当表示」を禁止していますが、規定の仕方が抽象的なため¹、具体的にどのような表示が「不当表示」にあたるか一義的に明らかではありません。そこで、景品表示法関係ガイドライン等や業界団体が設けた公正競争規約を参照すると、具体的な判断がしやすくなります。
実際の措置命令で不当表示のレベルを確認しよう
不当表示となるのは「著しく」優良又は有利な表示であるため、多少の誇張は法律自体が認めているといえます²。しかし、どこまでが許容範囲で、どこからが「著しい」誇張として不当表示となるかは、実際の行政処分事例(措置命令)を参考にしてください。審査部門は、法律より厳しい審査をしてしまうことがないよう、“過度に慎重になりすぎず”適法性を判断することが大切です。
広告掲出(とモニタリング)
掲出後は可能であればモニタリングを行います。コールセンターへの苦情や消費者適格団体からの指摘などで問題が発覚することがありますので、問題があれば改善します。
その他の留意点
広告審査体制を整備する際に留意すべき点としては、以下があります。
- 全事業者が採るべき管理上の措置についてのガイドライン事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針を参照しましょう。
- メインの広告などでは、法務部などの審査部門の審査後に、経営層の承認をプロセスとして入れることが望ましいケースもあります。
- 一人法務などで上記を踏まえた審査体制を築けない、メインの広告など露出が多い広告は慎重に審査したい等の場合は、弁護士など外部の専門家による審査を依頼することも一手段です。
- ¹大雑把に要約すれば、商品・サービスの内容や取引条件についての「実際又は競合事業者より著しく優良又は有利な表示」を不当表示として禁止しています。
- ²ステルスマーケティングなどの例外はあります。
※この記事は、2025年1月21日に作成されました。