マイホームの雨漏り修理を建設会社に応じてもらえませんでした。
まずは誰に責任追及できるか確認を
実際に家を建てたのがその建設会社だとしても、不具合(契約不適合)についてあなたが直接建設会社の責任を追及できるかは別の問題です。家の売主がその建設会社以外の企業や個人であれば、建設会社に対して売買契約における責任を直接追及することはできません。建設会社が「弊社の責任ではない」と言ったのはこの点を指摘している可能性があります。
この場合、建設会社ではなく、売買契約の相手当事者である売主に対して、契約不適合責任に基づき、雨漏りの修理を求めることになります。
ただ、あなたからの請求を受けた売主が、今度は建築会社に対して売主と建設会社との間の請負契約に基づく契約不適合責任を追及し、結果として建築会社が雨漏りを修理するという展開もありえます。
また、家を購入する際、契約不適合責任を請求できる地位を売主から承継し、建設会社もこれを了承していた場合には、建設会社に対して直接責任追及することができます。
具体的に何を請求できるのか
請求先が分かったとして、具体的に何を請求できるのでしょうか。
購入した家に不具合(契約不適合)があった場合の対応としては、まずは雨漏りの補修を求めることになります。
売主が補修を拒否し、または催促しても一向に取り掛からない場合、次の対応として不具合の程度に応じて売買代金の減額請求が考えられます。代金を支払った後であれば、代金の一部返還を求めることになります。または、代金の減額ではなく、第三者に修理を依頼し、その工事代金を損害賠償請求することも考えられます。
加えて、雨漏りによって家財道具に被害が生じているような場合には、その損害についても賠償を求めることができます。
ただし、売買契約書でこれら民法の規定と違った取決めとしているケースもありますので、確認が必要です。特に中古物件では、売買契約書で売主の契約不適合責任を免責にしているケースがあるので注意が必要です。
また、契約不適合責任を追及するためには、一定の期間内に売主に通知しなければなりません。この点も契約書でどのように定められているか確認する必要があります。
話し合いでの解決が難しいときの対応
原因の調査や補修について売主が非協力的な場合、話し合いでの解決が期待できないため、訴訟提起という対応にせざるをえません。
訴訟では、「雨漏りしている」と被害を訴えるだけでは不十分です。雨漏りの原因(例えば、屋根の勾配が不適切、外壁にひびわれがある、防水シートと防水テープが適切に施工されていない等)が「契約不適合」であって、建設会社(もしくは売主)が「弊社の責任ではない」と責任を認めていない以上、買主がこの原因を特定することが必要となります(立証責任が買主にあります)。雨漏りはその原因から生じた事象に過ぎないという整理になります。
そして、この原因(契約不適合)の特定には専門的な知見が必要であるため、建築士や専門業者に調査を依頼することになります。仮に調査に先行して補修工事を実施する場合、原因箇所の写真を撮影するなどの証拠保存を怠ると、後日の調査や証拠提出に支障をきたすため、注意して下さい。
なお、購入した家が新築の場合、そもそも雨漏りすること自体おかしいのであって、原因の特定ができていなくても、どこかに施工不良があると裁判所で推定されることも多いでしょう。
まとめ
雨漏りへの対応と一言でいっても、個々の案件で請求する相手、請求できる内容、請求できる期間などが異なるため、適用法令や売買契約書を確認することが重要です。また、相手の対応によっては、専門家の力を借りて原因調査を実施することも必要となります。
相手から誠意ある対応が得られないと感じたら、早めに専門家からサポートを受けることを考えられた方がよいでしょう。
※この記事は、2024年1月11日に作成されました。