法改正の際、社内規程のどこをどのように修正すべきかわかりません。
法改正はいつ、どのように確認すればよいのでしょうか?
法改正を確認する必要性について
法は社会の変化とともに日々更新されるものです。法改正に対応せずに、知らず知らずのうちに法令に違反している場合も珍しくありません。加えて罰則が科される可能性もあります。法律は公布されており、「法の不知はこれを許さず」というように、法を知らないことをもって、違法が許されることはありません。そうとはいっても、いちいち法改正を確認していたらビジネスは進まないとお考えの方も多くいらっしゃると思います。以下では、法改正の確認方法を見ていきたいと思います。
法改正を確認する方法
法は必ず国民に公布され、公布は官報によりますので、官報を確認すれば、法改正を知ることができます。この方法が最も確実といえます。官報ですが、土曜・日曜・祝日・12月29日~1月3日を除いて毎日発行され、かつ年間に成立する法律は100本前後あり、これに政省令を合わせますと莫大な数となります。よって、官報を確認する方法は最も確実な方法ではありますが、現実的とはいえません。
そこで、まずは貴社に法務部など法令担当の従業員の方がいらっしゃれば、貴社の事業分野に絞って、アンテナを張ってもらい、関係省庁のHPを確認するなどの方法により法改正を確認することから始めていただければと思います。保険業法や建築業法、旅館業法などのいわゆる業法といわれる分野の法改正は貴社の業務に絞って比較的改正を追いやすいといえます。また、近年大幅な改正のあった民法や、労働法などのメジャーな法改正はインターネット上でも情報がありますし、書籍も沢山出版されていますので、情報が得やすく、解釈もしやすいと思います。
しかしながら、いわゆるマイナーな法律であるにもかかわらず、貴社のビジネスに関係のある法改正などについてはそもそも情報が入ってこず、先に述べたとおりに知らないうちに法に違反してしまう可能性は否定できません。そこで、新法や法改正をアップデートしてくれる弁護士と顧問契約することを推奨します。顧問契約であれば雇用とは異なり、相性が合わなかったり、期待と違っていたりしたら比較的すぐに契約を解消することができますので、法令担当の従業員を雇用するよりも費用対効果の面で優れているかもしれません。
ただし、弁護士によっては法改正に十分に対応しきれていない場合もありますので、最新の法律情報について感度の高い弁護士に依頼するのが良いでしょう。検索の手がかりとしましては、ブログやSNSを頻繁に更新して法改正などの記事を載せている、法改正の専門誌の記事や著書がある、複数の弁護士で事案に対応している(勉強会などを開いているケースが多い。)、などがあります。
法改正確認の一歩先へ
法改正を把握したとしてもそこで終わりではありません。内容を解釈し、貴社の規程や実務運用に落とし込む必要があります。
例えば、育児・介護休業法の改正により2022年4月から本人又は配偶者の妊娠・出産等を申し出た従業員に対して育児休業制度等に関する個別周知や休業取得に関する意向確認をすることが義務化され、同年10月からはいわゆる「産後パパ育休」の導入がなされました。
当然、社内規程を法改正に適合したものに変更することが必要ですし、実際の職場において、個別周知・意向確認は人事部が担当するのか、それとも妊娠・出産を告げられた直属の上司が対応するのかなどの運用ルールを決めることも必要となります。
このように、たとえメジャーな法改正でも実際に会社の規程や制度のどこを変えたら良いのかなど、一歩先を検討しなければなりません。
法改正を知るだけではなく、具体的な対応をする必要がありますので、この点でも日ごろから気軽に相談できる専門家がいると安心です。
まとめ
少なくとも貴社の業務分野に絞ってアンテナを張りましょう。費用対効果からいえば、主体的に法改正などの情報をアップデートしてくれる弁護士と顧問契約を締結するという方法が適切だと思います。ここで重要なのは最新の法律情報について感度の高い弁護士に依頼するということです。
※この記事は、2024年10月15日に作成されました。