アプリを模倣された際の対応方法を教えてください。
自社知的財産権を侵害するか検討
自社のアプリとそっくりのアプリを見つけたとのことですが、相手とのコンタクトを取る前に、まずは自社の知的財産権を侵害するものであるかどうかを検討すべきです。
特許権、意匠権、著作権といった知的財産権を侵害しているかの検討
特許権、意匠権といった知的財産権(産業財産権と呼ばれます)を取得しているのであれば、相手のアプリの挙動が特許発明の技術的範囲に属するか否かを検討します。また、相手のアプリの画面デザインが登録意匠と類似するかを検討します。
特許権や意匠権を取得していなかったとしても、アプリのキャラクターや画面イラストに関して著作権が発生している場合には、相手方サービスの提供が自社著作権の侵害に該当するかも検討します。
相手のサービス提供が自社特許権、意匠権、著作権を侵害するか否かは専門的な知識が必要ですので、弁理士や弁護士に鑑定を依頼しましょう。
不正競争に該当するかの検討
特許権、意匠権、著作権といった知的財産権侵害に該当しない場合、相手の行為が不正競争に該当しないかを検討しましょう。例えば自社の特徴的な画面デザインやロゴマークを模倣しているような場合、意匠権や商標権を取得していなかったとしても、不正競争に該当すれば差止めや損害賠償が認められる可能性があります。
また、ソフトウェアやアプリの模倣で意外と多いのが、元従業員の営業秘密持ち出し行為です。元従業員が自社のソースコードや設計図を持ち出していないかどうかをチェックしましょう。仮に持ち出していることが判明した場合、営業秘密の不正取得に対し差止めや損害賠償を求めることができます。
気を付けるべきこと
相手のアプリが自社のアプリと一見似ていると感じても、知的財産権の侵害とは認められない場合もあります。安易な権利行使は相手方からの思わぬ反論を受ける可能性があります。逆に、自社サービス提供が相手の有する特許権を侵害していると主張されるかもしれません。よって、専門家の協力を得て権利行使の前に知的財産権の侵害に該当するか否か、相手のカウンターを受けることがないかを精査するようにしましょう。
まとめ
アプリの模倣事例の場合、特許権、意匠権、商標権、著作権、不正競争など様々な知的財産が問題となります。特許権、意匠権、商標権といった知的財産権を取得していなかったとしても著作権侵害や不正競争が認められた事例もあるため、あきらめずに専門家のアドバイスを聞いてみましょう。
※この記事は、2024年1月23日に作成されました。