傷害事件で逮捕された際の示談交渉の流れを教えてください。
逮捕とは
主として警察が、被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐために一時的に身柄を強制的に拘束することを逮捕といいます。逮捕後48時間は弁護人(士)以外の面会が許されず、その後、検察庁に身柄を送られます。この間、警察が息子さんを自ら釈放する可能性は低いため、息子さんが帰宅できると考えず、刑事事件に詳しい弁護士を探して、事件の解決や勤務先対応を依頼することが賢明です。
勾留とは
逮捕に引き続き、息子さんの身柄が検察官に送られ、検察官が裁判所に身柄拘束を請求し、裁判所がそれを認めると、身柄拘束が継続されます。この拘束措置を勾留といいます。原則10日間の警察の留置施設に収容されて取調べを受けます。事案によっては家族であっても面会ができなくなる場合もありますので、早期釈放を希望するのであれば、弁護人の選任は必須です。通常、息子さんを釈放する権限のある者はこの段階では検察官のみです。裁判官が勾留請求を却下して釈放する場合もありますが、大部分は弁護人が付いている事件です。弁護人がいない場合、被疑者は勾留されてからでないと弁護人が付くことはなく、身柄拘束から解放されるためには、よほど熱心な弁護士に当たらない限り難しいのが現実です。
示談とは
原則として、犯罪事実を前提として、犯罪事実を敢行した者(被疑者)が慰謝料その他の解決金を支払うことを条件に、被害者に被害届を取り下げてもらう合意を示談といいます。犯罪の成立に疑問点があるものの早期に事件を終息させたい場合などは、否認を前提とした示談、つまり事実関係を棚上げにして被害者に示談金を支払うことで事件を不問にしてもらうことも考えられます。ただ、そのような交渉の流れを作るにはそれ相応の知識と経験が必要でしょう。前述の身柄拘束からの解放が前提となっていますと、示談交渉に余裕が生まれます。そのような観点から刑事事件全体を俯瞰できる弁護士に依頼することが得策です。また、国選弁護人という手段もありますが、国選弁護人は被疑者が釈放されれば解任されますので、その後の示談交渉には原則関与できません。しっかりした解決を望むのであれば定評のある私選弁護人を選任すべきです。
まとめ
逮捕された息子さんの示談を希望する前提で弁護人を選任するというのであれば、刑事手続全般に精通した弁護士を私選弁護人に選任するのが最も賢明な手段と言えましょう。
※この記事は、2025年1月28日に作成されました。