会社の資金繰りが悪化したときのリスケジュール交渉の進め方を知りたいです。
資金繰りは会社の死命を制する
企業は赤字では倒産しません。資金が無くなって倒産するのです。その意味で、経営者にとって資金繰り管理は最も重要な仕事の一つです。
対策は、資金繰り悪化の程度によって異なる
資金繰りに窮したら、販売管理費の削減(ただし、役員を除く社員の人件費の削減は最後の手段です。)、不稼働資産の売却、売掛金の早期回収、買掛金の支払い繰り延べなどの対策を講じて、資金繰りがもつようにします。この時、高利の金に手を出してはいけません。蟻地獄に落ちるだけです。親族や友人から金を借りてはいけません。被害者を増やすだけです。
銀行借入の元本返済を猶予してもらったら当面の資金繰りがもつのであれば、事業存続の可能性は高くなります。
様々な方策を駆使しても、銀行借入の元本の支払猶予だけでは資金繰りが成り立たないときは、後述の私的整理手続を利用して銀行借入金の一部をカットしてもらうとか、法的手続(特別清算手続、民事再生手続、自己破産手続)を検討する必要があります。
私的整理手続とは?
私的整理手続は、全金融機関の同意のもとに、資金繰り難に陥った会社の事業継続を支援する手続です。金融機関からの借入金債務の一部カット等を内容とする場合と金融機関と約束した支払条件を緩和してもらう場合(これを「リスケジュール」といいます。)とがあります。メイン銀行が他の銀行も含めてリスケの調整をしてくれる場合もありますが、多くの場合協議会が関与して実施されます。弁護士や公認会計士等も関与しますが、協議会の予算があればその費用の一部が補助されます。
リスケジュールの進め方
資金繰りのひっ迫度が高い場合は、元本の返済を一時的に止めます(一時停止通知)。そのうえで、専門家が財務と事業の実態を精査し、窮境原因を明らかにします。
リスケジュールの内容は、会社の収益力、銀行借入残高、租税公課の滞納の有無などによって異なります。収益力が低い場合は、2~3年程度暫定的に元本の返済を猶予してもらって、その間に収益力向上に取り組むことになります(「暫定リスケ」と呼ばれています。)。それなりの収益力が見込まれる場合は、借入当初の弁済条件を緩和した弁済計画に変更することになります。いずれにしても、会社の事業と財務の実態を明らかにした上で、その会社の実態に即した実現可能性の高い経営改善計画を策定することになります。
粉飾をしている場合は、弁護士に対する事前相談は、必須です。
経営者の責任と覚悟
経営者として、資金繰りが悪化した原因と経営者の責任を明確にしつつ、不退転の決意で業績回復に取り組む姿勢を打ち出す必要があります。業績回復に向けた具体的な方策を示すとともに、実働していない同族役員の退任、役員報酬の削減、社用車の廃止、接待交際費を含む販管費の削減などを実行する必要があります。
結論
弁護士への相談は、早ければ早いほど良いです。知り合いの弁護士がいない方は、各県の弁護士会にお問い合わせいただければ、弁護士の紹介を受けることができます。