クレームとカスハラの境目がわかりません。
要求「内容」と要求「手段・態様」から、1つ1つを個別具体的に判断します。
無理な要求や執拗な電話は、カスハラの典型例といえます。
ただ、どの程度からカスハラと判断できるかは、難しい問題です。
事前に分水嶺を決めておき、できる限り現場従業員が迷わず対応できるように対策をすることが大切です。
カスタマーハラスメントの種類
カスハラの類型と種類について、厚労省が具体例を挙げています(「あかるい職場応援団」)。
コールセンターでは、主に以下のようなものが挙げられます。
- 暴言や人格否定 → 「バカ、ボケ」
- 長時間の拘束 → 電話を切らない
- 同じ要求を繰り返す → 何度も同じ電話をしてくる
- 威圧的・強迫的な言動 → 「お前のせいで会社に迷惑かかるな」
- 過剰要求・不合理な要求 → 「今日中に対応しろ」
- セクハラ → 「君の声は可愛いね」
- 従業員の個人情報詮索 → 「何歳?どこに住んでるの?」
- SNSに書くなどの拡散を示唆する → 「この会話をSNSにアップするぞ」
カスタマーハラスメントの法的な取り扱い
カスハラとは、「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」とされています。
そのため、企業が適切な対応を怠ると、従業員に対する安全配慮義務違反として、法的責任を問われます。
実際の対応時のポイント
カスハラと判断できる言動には、「そのような言動はお控えください」と明確に伝えます。
警告をしても、まだカスハラが続く場合には、顧客対応を打切ると共に、弁護士や警察に法的対応の相談をするべきです。
このような毅然とした対応をするためにも、通話内容を録音することや、上司や専門部署に引き継げる組織作り(エスカレーション)をしておくことが重要です。
特に、「顧客対応を打切って良い」という会社の姿勢を鮮明にすることで、現場対応にあたる従業員に安心感を与えます。
まとめ
このようにコールセンターにおけるクレーム・カスハラ対応において、顧客として対応すべきクレームか、毅然と拒否すべきカスハラかの判断ができれば、執るべき対応は明らかです。
クレームかカスハラかを具体的に判断するためには、業界や自社の過去の事例から、できる限り具体的に考察したマニュアルを整備し、共有することが必要不可欠です。
具体的に考察するとは、「長時間」とは何分か?、「執拗」とは何回まで許容するか?など、抽象的に書かれている内容を、自社の取引実態・態様に合わせて具体化することです。
そして、一度作ったら終わりではなく、日々発生する対応に悩む事例を追加共有していきます。
この取り組みを通して、カスハラ対応に強いコールセンターが構築され、従業員が安心して働ける職場環境を作ることができます。
※この記事は、2024年11月29日に作成されました。