法人カード利用の社内ガイドラインは、どのような内容にすべきでしょうか?
目次
ガイドライン作成に当たっての注意事項、内容等
ガイドラインを作成する際の注意事項や定めるべき内容を挙げると、概ね以下のとおりです。
カード規約の周知
何か起こった後に「カード規約の内容を知らなかった」では済みませんので、会社として、カード規約の重要な点をピックアップして従業員に周知する必要があります。
発行対象者の選定
法人カードは、通常、発行可能枚数が定められていますし、多く発行すればするほど私的利用や紛失のリスクも高まりますので、発行対象者を限定する必要があります。実務としては、一定の役職者に限定する会社が多いと思います。
カードの貸与禁止
法人カードは、カード規約上、名義人のみが利用でき、第三者への貸与は禁止されていますし、部下や同僚への貸与を認めたのでは、発行対象者を限定した意味がありません。そのため、ガイドラインにおいても、カードの貸与を禁止する必要があります。
利用目的・利用先の限定
法人カードの私的利用を禁止するのは当然ですが、従業員は経費のつもりでも、実は経費にならなかったというケースもあります。このような事態を防止するため、カードの利用範囲を具体的に定めることがお勧めです。例えば、「出張旅費」ではなく、鉄道・飛行機代、宿泊ホテル代、といった形で具体的に明記する形です。
また、偽の通販サイトに誘導されてのフィッシングや、ネット上での情報漏えいなどもあり得ますので、通信販売に利用する場合の利用先(サイト)を限定するのも良いと思います。
利用時のみ持ち出し
普段からカードを持ち歩いていると、私的利用だけでなく、カード紛失のリスクも高くなりますので、必要な時にだけ持ち歩くようにして、普段は、会社で責任者が保管するようにするのがお勧めです。
事前承認制
カードを会社で保管していても、自由に持ち出せたのでは意味がありませんので、カードを持ちだす際には、上長等に事前に申告して承認を得るような運用にする必要があります。
カード利用時の報告の徹底/レシート等の提出
従業員による私的利用の防止だけでなく、不正利用の早期発見のためにも、カード利用時の報告が必要です。
不正利用については、カード会社へ連絡した日から一定期間以上前の利用は免責対象となりませんので、早期発見が重要です。レシート等の提出も含めて報告を徹底させることで、私的利用を防止できるだけでなく、正規の利用と不正利用とを区別することができ、不正利用の早期発見に繋がります。
紛失時の手続
カードを紛失した場合、連絡体制等が定められていないと、カード会社への連絡が遅れたり漏れたりして免責を受けられなくなる可能性もありますので、カードを紛失した場合の手続について予め定めておく必要があります。
カード会社への連絡は、会社とカード使用者のどちらからでもできますが、多くの場合、カード使用者は財布や鞄ごと紛失していますので、直接カード会社に連絡するよりも、会社に連絡して、会社からカード会社に一報を入れる方がスムーズな場合も多いと思います。
カード規約の周知
ガイドラインは、遵守されなければ意味がありませんので、予め内容を周知する必要がありますし、違反した場合のペナルティも重要となります。
特に、法人カードの私的利用は、横領という犯罪にもなり得る行為ですので、人事上のペナルティだけでなく、刑事事件ともなり得ることを認識させる必要があります。
まとめ
冒頭でも記載したように、法人カードを利用するに当たっては、従業員による私的利用と第三者による不正利用を防止する必要があります。そのためには、社内ガイドラインにおいて、上記のような内容を定めておくとともに、その内容を従業員に周知し遵守させることが重要です。
※この記事は、2024年4月1日に作成されました。