資金調達の手段として「エクイティ・ファイナンス」を検討しています。
そもそも「エクイティ・ファイナンス」とは何でしょうか、またどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
エクイティ・ファイナンスとは ― 他の選択肢との比較
会社の資金ニーズを充たすには、借入れをするか、新たに株式を発行することが典型的な方策となります。前者がデット・ファイナンス(「DF」)、後者がエクイティ・ファイナンス(「EF」)として対比されます。資金(キャッシュ)の出し手の側は、DFでは銀行等であるのに対し、EFにおいては株主となります。DFは、EFと異なり、資金の出し手が受け取る経済的利得(利子)が当初から確定することが一般的です。EFの場合、株主が受け取る経済的利益は通常、配当であることから、その有無や金額は未定です。そのような経済的効果の違いに着目して、前者をフィックス・インカム、後者をエクイティと区別することもあります。
エクイティ・ファイナンスを受ける際の法的手順
EFとして新株の発行を行う場合、既存の株主に按分して追加の出資を求めるのであれば「株主割当」という方法となります。新たに株主を募る場合などには「第三者割当」となります。
未上場の会社が第三者割当の方法でEFする場合、会社法上の手続きとして、取締役会(及び、条件によっては株主総会)の決議を要します。株主名簿の書換えも必要となります。出資を募る相手方の数(人数や社数)が半年の期間合算して49名以下であれば(他の幾つかの要件を満たすことを条件として)、金融商品取引法上の面倒な手続き(有価証券届出書や目論見書の作成等)が不要となります(「少人数私募」)。
エクイティ・ファイナンスによる副作用(?)
EF、特に第三者割当で株主を増やす場合、会社の資本金が増加し、発行済み株式数が増えることから、既存の株主にとって、議決権割合が低下します(以下図1参照)。DFにおける銀行等と異なり、EFによる資金の出し手は株主となり、自益権(配当等を受ける権利)と共益権(株主総会における議決権やその他の少数株主権)を持ちます。保有する株式の数量によって違うものの、株主提案権や(臨時)株主総会招集請求権などが行使される可能性が生じます。
まとめ
会社としては、EFであれば、借金ではないことから、担保の提供が無用で、利息や元本の返済を求められない点が魅力でしょう。会社が大きく成長し、上場に至れば、初期のEFに応じた株主は大きなキャピタルゲインを得る可能性があります。
資金調達の方策として、銀行等からの借入れとは別に、EFを検討することが会社経営者には求められます。DFとEFの比較について、以下図2をご参照ください。
外国投資家による出資については外為法の規制にも留意が必要であり、EFを検討する際は専門の弁護士に相談することをおすすめします。
※この記事は、2024年4月17日に作成されました。