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フランチャイズ加盟店の募集説明会をする際の注意点を教えてください。

フランチャイズ加盟店の募集説明会をする際に気を付けるべきことを教えてください。
募集説明会の参加者は一様でなく、経営等に関する認識や説明へ理解力にも差が出ます。そのため「モデル収益」を提示する場合には、厳密な意味での売上予測等であると誤解されることのないよう注意してください。
また、提供する資料は、事業にとっての営業秘密やノウハウにもなり得ます。説明会においてどのような情報を提供するかについては、十分に検討することが必要です。
回答者
辻󠄀居 弘平 弁護士
みなとみらい総合法律事務所
回答者
吉沢 洋介 弁護士
みなとみらい総合法律事務所

情報提供義務

フランチャイズ加盟店の募集説明会に際して、説明資料やパンフレット等も用いるとともに、一定のセールストークを用いることもあると思います。もっとも、不適切な情報提供や過度なセールストークは、本部の法的な責任も生じさせかねませんので注意が必要です。

過去の裁判例に照らしても、本部が、加盟店候補者に対し、「契約締結に関して的確な判断ができるよう客観的かつ正確な情報を提供する」信義則上の義務を負うことを前提として、本部に損害賠償責任を認めるケースが存在します。

したがって、本部としては、事業の性質、情報の重要性や情報提供の容易さ、加盟店候補者の性質(未経験者/経験者)等も加味して、①加盟店候補者に対し如何なる情報を提供するか、②提供する情報が客観的かつ正確なものかという点について、慎重に検討することが必要となります。

※公正取引委員会はフランチャイズ・ガイドラインを策定し、開示することが望ましい情報を定めています(フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方)。

※小売業・飲食業については、中小小売商業振興法11条1項・同法施行規則10条が事前に書面交付の上説明すべき事項を法定しています。

募集説明会等における注意事項

参加者の理解力への注意

フランチャイズの加盟店オーナーは、必ずしも経営・ビジネスに精通している方ばかりではなく、経営・ビジネスに関する認識や本部による説明の理解力にも差が出ます。そのため、本部としては十分に説明したつもりでも、往々にして、「聞いてない」、「加盟前に受けた説明よりも実際の状況の方が悪かった」等のトラブルに発展することも少なくありません。

このようなトラブルに備えて、説明会の様子を録画する等して、本部として情報提供義務を果たしていることを証拠として保全しておく工夫が必要です。実際の契約の際には、重要事項説明書のような書類を作成して、本部として強調したい点を列記し、加盟店候補者から署名捺印を受領しておくことも効果的です。

「モデル収益」等の利用上の注意

その他にも、募集説明会で配布するパンフレット等に、既存店舗の収益の平均値等から作成した「モデル収益」等を提示することがあります。しかし、加盟店候補者が、これらの情報を「出店を予定している店舗における売上等を予測するもの」と誤解するパターンも多く見受けられます。

このような「モデル」であっても、加盟店候補者に対して提供する以上、その内容が客観的・合理的根拠に基づく必要があることはもちろんですが、そもそも上述のような誤解が生じないよう、例えば以下の記載をパンフレットに明記し、説明することが適切です。

本シミュレーションは、あくまでも参考数値として、既存店舗の収益の平均値等から作成し情報提供したものであり、実際の売上げまたは収益を予測するものではなく、またこれを保証するものではありません。

 

ノウハウ等の保護

また、小売業・飲食業については、2022年4月1日以降、本部が把握している「加盟者の店舗のうち、周辺の地域の人口、交通量その他の立地条件が類似するものの直近の三事業年度の収支に関する事項」が、法定の事前開示事項として追加されました(中小小売商業振興法施行規則10条7号)。

もっとも、上記の事前開示事項は、募集説明会の時点において開示が求められているものではありません。具体的な収支の情報等は、事業にとっての営業秘密ノウハウにもなり得る事項です。営業秘密やノウハウを得るためだけに説明会に参加するケースも散見されますので、本部として加盟店候補者の見極めも重要です。法令等にしたがって事前に説明等をすることが必要であることはもちろんですが、募集説明会の時点において、どのような情報を提供するかについて、本部としては説明会の参加者の属性等も踏まえて、十分に検討することが必要です。

トラブルへの予防策・対応のポイント

事前の予防策

募集説明会では、説明会担当者のセールストークが行き過ぎるといった場面も想定されます。トラブル防止の観点からは、説明マニュアルの作成や、コンプラ担当者等による定期的な募集説明会のチェックを実施することも考えられます。

事後的対応策

実際にトラブルが生じた場合には、本部としては、まずは、売上が向上しない原因の分析や必要な経営指導を行い、紛争化することを避けることが適切です。法的責任が生じないような場合であっても、トラブルが深刻化すればフランチャイズ事業への評判やブランドには影響が生じます。加盟店の全員が全員、経営がうまくいくというものではなく、一定程度のトラブルは避けられない部分があるため、加盟店のニーズに出来る限り寄り添い、トラブルの兆候がある場合には迅速かつ適切に対応していくことが大事です。

この記事は、2024年2月13日に作成されました。

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