海外在住の外国人をフルリモートで雇う際の注意点を教えてください。
一方、海外在住の外国人材にも日本の労働法が適用されます。また、当該外国の法令に従わなければならない場合もあるので、対象国の法令についても留意しておく必要があります。その他税金や社会保険についても気をつけることがあります。
海外IT人材の需要の高まり
日本では、少子高齢化やグローバル経営の必要性の観点から、外国人材の雇用を推進する企業が増えています。また、リモート技術の発展により、外国人材をフルリモートで雇用することもできるようになっています。特に、IT人材については、フルリモートとの相性が良いことから、外国人材の雇用の需要が高まっています。
就労ビザ(在留資格)の必要性
この場合、まず考えなければならないのは、この外国人材に就労ビザが必要なのかということです。IT人材の場合は、「技術」という就労ビザが必要かどうかが問題となります。
この点、ビザというのは、外国人が日本に「在留」できる資格ですので、フルリモートで仕事をする場合は、ビザは必要ないということになります。
ただし、例えば日本に短期出張をする時は、短期滞在のためのビザが必要な場合があります。これは入国管理法という法律の領域です。
労働法の適用範囲
就労ビザは必要ないとしても、外国人材が日本の会社の指揮下にある場合は、日本の労働法が適用されます。例えば、残業代について、仮に当該外国に残業代の概念がないとしても、残業代を払わなくていいということにはならず、日本の労働基準法に基づいてきちんと支払う必要があります。
また、当該外国の労働法が決めているルール(=強行法規)がある場合は、そのルールを守らないといけない場合もありますのでご留意ください。例えば、ある国で19歳以下の人を雇ってはいけないという法令があるとすれば、リモートであっても日本企業が19歳の外国人材を雇うことはできない場合があるということです。以上は、法の適用に関する通則法という法律の領域です。
その他
当該外国人材に給与を振り込む場合に源泉徴収が必要となるのか、については不要となるのが原則ですが、必要になる場合もあります。この点については、税理士さんに相談すると良いでしょう。
また、当該外国人材は日本の社会保険に加入しなければならないのが原則ですが、国によっては免除されることもあります。この点については、社労士さんに相談すると良いでしょう。
珍しいケースですが、仮に、当該外国人材が日本の企業に損害をもたらした場合は、当該外国で裁判をしなければならない場合もあります。そのときは、国際関係に強い弁護士さんに相談すると良いでしょう。
※この記事は、2024年2月21日に作成されました。