業績の良い事業と悪い事業がある場合、両事業をどう進めれば良いですか?
新会社を設立して業績の良い事業Aだけ新会社に移すなど、両事業は今後どのような方針で進めていけば良いでしょうか?
事業Bを切り離して事業譲渡を進めるか、両事業のシナジーが見込める事業展開を模索するか、あるいは事業Aからの売上を原資に事業Bの再建を目指す等が考えられます。
現状の把握と会社の再建
このままだと資金が尽きる状況とのことですので、会社としてはとにかく利益を出す必要があります。事業Aにしても事業Bにしても、会社として利益が上がらないと話になりませんので、まずは、不振の原因を探ります。
具体的には、財務状況の把握、事業Bの業績不振の原因や事業Aから会社としてシナジーが見出せるかどうかの確認を行います。
また、必要に応じて、資金調達の観点から、大口の債権者の意向も確認する必要があります。
方向の確認と法的な問題
会社の再建方法には、事業の内容、経営の意向によって、様々な方策と方向がありえます。
例えば、不採算部門である事業Bを分離して同業の他社へ譲渡することを考えた場合、事業譲渡をする、新しく会社を設立して新設会社ごと譲渡する等のほか、場合によっては、担当者が独立して事業を引継ぐ場合もあり得ます。
好調な事業Aと不振の事業Bのどちらを新会社または第三者に譲渡するかは、事業の内容、名声、税務、従業員、事業移転の手続きの難易度などにより検討します。
いずれの場合であっても、会社法の手続きのほか、事業に必要な許認可の引継ぎ、人的なリソースと労働問題、事業資産の法的な移転について調査・確認を行い、当該スキームが法的に実現可能かどうかを確認してから動く必要があります。
実際の対応時のポイント
実際に対応する場合は、以下の実務的なポイントを押さえつつ、事業Bの業績不振と事業Aの強みを考慮して、もっとも利益が見込めて、かつ法的に実現可能な方策をとることになります。
許認可関係
事業に許認可が必要な場合は、業法および監督官庁のガイドラインなどを再度確認する必要があります。
キーパーソン
事業にキーパーソンがいる場合には、当該人物の意向や待遇、モチベーションを考慮する必要があります。
労務
仮に、事業を譲渡したり、閉鎖したりする場合は、従業員の解雇や転籍の問題も発生しますので、労務面についても早期に確認と検討を要します。
資産関係
資産関係については、特に事業に必要な不動産、知的財産について確認します。不動産については、賃貸借契約の移行が可能か、必要に応じて売却をするかどうかなど、また知的財産については、ライセンス契約の譲渡やサブライセンスが可能かどうかも再度検討します。
まとめ
以上のような検討をしても、事業Bを継続することが難しい場合や、事業Bの引き取り先がない場合は、事業Bの閉鎖もありうるところかと思います。会社としては利益を上げることが最優先ですから、事業Bへのこだわりや思い入れは思い切って捨てて、現実的な方向を模索することになります。
※この記事は、2023年12月27日に作成されました。