健康食品の広告を作るうえで注意すべき点を教えてください。
行政は広告全体の内容・印象を見て違法性を判断することから、効果について直接的に表示していなくても、違反に問われることがあります。このため、キャッチコピーや文章だけにフォーカスするのでなく、写真・グラフ・イラストなども含めて全体をチェックすることが重要です。
健康食品の広告の取り締まりをめぐる実情
違反に問われる主な要因に、「インフルエンザ予防」「糖尿病に効く」など疾病の予防・治療効果をうたうことが挙げられます。また、「1カ月で5㎏減少」といった著しい痩身効果を標ぼうしたダイエット食品の違反も後を絶ちません。「免疫向上」「美白効果」「デトックス」など、根拠が不十分な表示が問題となった事例も多数報告されています。
健康食品の広告の法的な取り扱い
健康食品の行き過ぎた効果の表示は、健康増進法で規制する「誇大表示」、景品表示法の「優良誤認表示」、特定商取引法の「誇大広告」などに該当するおそれがあります。
健康増進法による取り締まりのほとんどは行政指導にとどまりますが、景品表示法では措置命令や課徴金納付命令が出される事案も少なくなく、特商法の場合は業務停止命令や業務禁止命令(個人に適用)の対象となりえます。これに加え、薬機法違反で刑事事件となることも珍しくありません。
実際の対応時のポイント
景品表示法の取り締まりでは、「著しく優良であると示」す表示に該当するかどうかが問われます。その立証責任は販売者側にあり、表示の根拠となる資料を行政へ提出し、行政によって判断されます(特定商取引法も同様)。
そこで、広告を作成する際には、十分な根拠がないのにもかかわらず行き過ぎた表現をしていないか、写真やグラフは適切か、広告全体を通して消費者はどう受け止めるか――といった点を中心に検証しなければなりません。また、行政処分を受けた事業者の共通点に、「法務担当は止めたが、マーケティング部に押し切られた」ことなどがあるため、複数の部署がチェックする体制を敷くとともに、可能であれば社外のチェックも受けるようにしましょう。
次に、表示の根拠が十分にあれば、「アトピーの方に」「膝関節で悩んでいる方に」などと表示してもよいかと言えば、全くそうではありません。根拠の有無にかかわらず、疾病に対する効果や医薬品のような効果をうたうと、薬機法違反となります。このため、(1)疾病の予防・治療効果に関する表現、(2)腸・肝臓・胃・血管・関節といった身体組織への効果(増強・増進)に関する表現、(3)医薬品のような効果を暗示する表現――は広告に使用できません。
一方、機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)の場合は、「おなかの調子を整える」「血圧が高めの方に」といった表示が可能です。ただし、国へ届け出た表示内容や許可された内容を逸脱して表示すると、一般的な健康食品と同じように違反に問われます。
まとめ
健康食品の広告では、具体的な健康効果をうたうことはできません。健康面については「健康維持をサポート」「健やかな毎日のために」という程度しか伝えられないことを念頭に置いて、広告を作成するように心がけましょう。
※この記事は、2024年12月20日に作成されました。