TOPQ&A記事非公開会社で「株式を譲り受けた」という人が現れた際の対応を知りたいです。
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非公開会社で「株式を譲り受けた」という人が現れた際の対応を知りたいです。

弊社の株式には譲渡制限が付いています。先日、ある株主から株式を譲り受けたという者が現れ「譲渡を承認してほしい。それが嫌なら買い取ってほしい。」との請求を受けました。譲受人を株主とは認めたくないのですが、他方で譲渡人を株主のままにするのも良くない気がします。どうすればよいでしょうか?
株式の譲受人からの譲渡承認請求は、原則として譲渡人と共同で行う必要がありますので、まずはその点を確認すべきです。譲受人の請求が適切に行われていた場合、会社として譲渡を認めるか否か判断しなければなりません。譲渡を承認しない場合には、自らまたは会社の指定した指定買取人が株式を買い取ることになります。
回答者
幡田 宏樹 弁護士
虎ノ門パートナーズ法律事務所

譲受人による譲渡承認

株式の譲受人が行う譲渡承認請求は、株主名簿に記載された譲渡人と共同して行うことが原則です。そのため、まずは譲渡承認請求が譲渡人と共同して行われたものか、確認する必要があります。

なお、利害関係人の利益を害するおそれがない一定の場合(会社法施行規則24条)には、譲受人が単独で譲渡承認請求を行うことができます。そのため、譲渡承認請求が譲渡人と共同して行われていない場合でも、念のため適法な譲渡承認請求か弁護士に見てもらった方がよいかと思います。

譲渡を認めない場合の対応

ご質問のケースでは、譲渡を承認しない決定をした場合には株式を買い取ることも請求されていますので、この点も合わせて説明します。

譲渡承認機関の確認

定款に承認機関が定められているか確認します。取締役会設置会社では取締役会それ以外の会社では株主総会で譲渡を承認するか否かの決定をしますが、定款に承認機関の定めがあれば当該機関が決定する点に注意が必要です。

例えば、取締役会設置会社でも、定款で譲渡の承認機関を株主総会と定めていた場合には、株主総会で譲渡を承認するか否か決定することが必要となります。

譲渡を承認するか否かの決定とその通知

会社は、譲渡承認の可否について承認機関で決定し、譲渡承認請求者(本件では譲受人)にその内容を通知しなければなりません。譲渡承認請求の日から2週間以内に会社が通知を行わなかった場合には、株式の譲渡を承認したものとみなされます。

株主総会で譲渡承認の可否を決定する場合、株主総会の招集手続きに一定の期間を要するため(非公開会社の場合、原則として1週間前までに招集通知を発する必要があります)、譲渡を承認しない場合には期間制限に注意する必要があります。

会社または指定買取人の決定

会社は、譲渡を承認しない旨の決定をしたときは、会社または指定買取人(以下「指定買取人ら」)による株式の買取を決定しなければなりません。

①会社による買取りの場合には株主総会の特別決議、②指定買取人による買取りの場合には、原則として、取締役会設置会社では取締役会決議、それ以外の会社では株主総会の特別決議が必要となります。

指定買取人らによる買取り通知

指定買取人らは、1株あたり純資産額に買取る株式数を乗じた額を、会社の本店所在地の供託所に供託し、供託を証明する書面を譲渡承認請求者に交付し、自らが株式を買い取る旨または自己が指定買取人として指定を受けた旨等の通知をしなければなりません。この通知は、会社が買い取る場合には、譲渡を承認しない旨の通知の日から40日以内に、指定買取人が買い取る場合には、同通知の日から10日以内に行わなければ、株式の譲渡を承認したものとみなされますので注意が必要です。

売買価格についての協議

指定買取人らと譲渡承認請求者との間で、株式の売買価格について協議することになります。協議が成立すれば当該価格が売買価格となります。協議が成立しない場合には、指定買取人らによる買取り通知の日から20日以内に、裁判所に売買価格の決定の申立を行うことができ、裁判所が売買価格を定めることになります。それ以外の場合には、1株あたり純資産額に買取る株式数を乗じた額(供託した額)が売買価格となります。

会社の対応における留意点

みなし承認

譲渡を承認しない旨の通知や指定買取人らによる買取りの通知について、所定の期間を経過すると、譲渡を承認する旨の決定をしたものとみなされてしまいます。そのため、期間制限に留意して対処することが必要となります。

財源規制

会社が株式を買い取る場合には財源規制が適用されます。そのため、分配可能額が十分とはいえない場合には、指定買取人による買取りも検討することが必要となります。

この記事は、2024年2月13日に作成されました。

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