ホームページが類似しているとのクレームにはどう対応したら良いですか?
そこで、著作権侵害その他の法律違反ではないので、A社の要求には応じられないということになるでしょう。もっとも、レイアウトや構成以外のコンテンツにも類似したものがないかを念のため検討してください。
目次
著作権法の保護の対象は「著作物」
著作権法で保護されるのは、著作物、すなわち「思想又は感情を創作的に表現したもの」であって「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法2条1項1号)です。
そのため、たとえば、数値データや事実そのものは思想又は感情を表現したものとはいえないため保護されませんし、アイデア自体も表現とはいえないため保護されません。また、ここでいう「創作性」とは作者の個性が認められる程度で足り、高度な必要はありませんが、誰もが作成するようなありふれた表現は創作性が認められませんので保護されません。
したがって、他人の著作物に似ていると言われた場合には、著作権法で保護される著作物が似ているのか、それとも著作物以外のものが似ているのかを検討する必要があります。
著作権法は「額に汗」を直接保護するものではない
よく、こんなに苦労して作成したのに保護されないのか、と言われることがありますが、著作権法はあくまでも思想又は感情の創作的な表現を保護する法律であるため、たとえ莫大な費用や労力(これを「額に汗」といいます)がかかったものであっても、その費用や労力を直接保護するものではありません。
レイアウトや構成は著作物ではない
ホームページのレイアウトや構成は、ホームページの割付や組立方法に過ぎませんので、たとえユーザーの目に留まるように工夫を凝らしたものであっても、それはアイデアに過ぎず著作物ではないため、著作権法では保護されません。したがって、そのレイアウトや構成が極めて類似していたとしても、それだけでは著作権侵害にはならないでしょう。
レイアウトや構成だけでなく素材も類似している場合
もっとも、そのレイアウトや構成だけでなく、そのレイアウトの素材となっている文章、画像、イラストといったコンテンツまで類似している場合には、編集著作物、あるいは全体として一つの著作物の表現が類似しているとして著作権侵害になることがあります。
したがって、クレームを受けた際には、レイアウトや構成だけが類似しているだけなのか、あるいはそれ以外のコンテンツを含めて類似しているのかについて、念のため検討する必要があります。
周知の営業表示が同一又は類似とされる場合
また、ホームページがA社の営業表示といえる場合であって一般によく知られており、かつ、ユーザー等があなたの会社のホームページをA社のホームページと間違えてしまうような(これを「誤認混同のおそれ」 といいます)場合は、不正競争防止法違反((周知商品等表示)同法2条1項1号)となる可能性があります。もっとも、ホームページには会社の商号や商標・ロゴも掲載されているでしょうから、それらも含めて全体が酷似していない限り、誤認混同のおそれがあるということはないでしょう。
※この記事は、2024年1月30日に作成されました。