現場社員のパワハラに対する意識を改善させたいです。
そうしないと、結局は大きな問題の発生を防げないことになります。
目次
企業文化、組織風土に原因があるコンプライアンス問題への対応(一般論)
パワハラに限らず、コンプライアンス問題があると、つい、当事者の“コンプライアンス意識”を問題にし、意識改革ばかりに対策が集中しがちです。
しかし、長年の企業文化、組織風土などがコンプライアンス問題の原因となっている場合、個々人の意識を一時的に高めたとしても、その組織的な原因を取り除かなければ、いずれ問題が発生するリスクが高まることになります。
具体的な対応について
パワハラを容認する企業文化、組織風土を持つ会社の特徴
パワハラが多い職場には例えば「体育会のノリ」とか「地域性」とか、様々な原因があり得ます。
しかし、それが長年の企業文化、組織風土にまでなるには、もっと組織の側に原因があるはずで、おそらく「目標未達の社員に対して上司が厳しく叱咤する行為が、長年企業文化として黙認されている」ような会社では、そうしたパワハラをする上司は、厳しい叱責により目標を達成しており、会社から営業的に評価されているためパワハラが黙認されている、ということなのだろうと思います。そもそも経営陣が厳しいノルマの必達を求め、こうした上司に対してパワハラ的な言動をしている、という可能性も高いです。
残念ながら、こうした状況はまだまだ少なくない会社で見受けられます。
組織的な原因への対応を優先する必要性
このような会社で、いくら研修で「パワハラはしてはいけません」と言ってパワハラの定義や事例を教え、また、厳しい処分を下すようなルールを設けたとしても、多少パワハラをする人が減る程度で、会社から評価され続ける以上はやる人はやり続けるでしょうし、やらない人や止めた人も、いずれノルマのプレッシャーなどで、つい厳しい叱責をしてしまうかもしれません。
「意識」を変えても、「組織」が変わらなければ、結局のところ問題は防げないのです。
経営トップによる方針の明確化
では、こうした会社でどのように企業文化、組織風土を変えるかといえば、やはり経営陣、特に経営トップに、これまでと違うことを明確にしてもらうより他ありません。ハラスメントを許容しない方針を明確化してもらい、ハラスメントを無くすことに明確にコミットしてもらうことで、初めてハラスメントを容認する企業文化、組織風土を取り除くことができるようになります。
こうした対応をしたうえで、ハラスメント研修を行い、ハラスメント規定を改定すれば、それは十分な効果を発揮することになるでしょう。
さいごに
なお、コンプライアンス部門が経営トップを動かすのは大変、という会社も多いかも知れませんが、今はハラスメントで社長の首が簡単に飛び、ハラスメントの発覚で会社の評価が簡単に下がる時代です。
転職サイトの口コミをきっかっけに、ハラスメントの対外的リスクの大きさについて正しく認識され、真剣に会社を変えようとされているようですので、そうしたご自身のリスク認識や、実際に同業他社で起きている事例などを伝えるなどして、経営陣にもリスク認識を強く持ってもらい、経営陣の認識、そして企業文化を変えていってもらえればと思います。
※この記事は、2024年5月16日に作成されました。