内部通報窓口を活性化させるにはどうしたら良いでしょうか。
内部通報を受け付ける窓口を作ってみたものの、まったく通報が来ません。適切に社員に活用してもらうために、どのような工夫が必要でしょうか。
内部通報窓口を活用してもらうには、定期的な周知や通報者保護の明確化、フィードバックの徹底等の工夫が重要となります。
内部通報窓口の実情とメリット
令和4年6月施行の改正公益通報者保護法では、通報窓口の設置義務化、事業者内の体制整備、守秘義務違反への罰則を設ける等の改正がなされました。企業不祥事の防止や健全な経営のために、内部通報制度の重要性が増しています。
内部通報窓口は、社員が不正や不祥事を発見した場合、通常の報告系統とは別に会社に直接通報できる仕組みです。しかし、設置した窓口が活用されないことが多くあります。これは、社員が窓口の存在や利用方法を知らなかったり、通報後の不利益を懸念したりすることが原因です。
内部通報の活性化は企業にとって、不祥事の早期発見と是正によるリスク低減、企業の自浄作用、コンプライアンス経営の強化などのメリットがありますので、企業利益のためにも、窓口を形骸化させない工夫が重要となります。
内部通報窓口活用のための工夫
周知徹底
まずは社員に内部通報窓口の存在、利用方法、通報後の流れを周知しましょう。
- 社内ポータルサイトへの掲載、社内報での紹介など、様々な手段を用いて定期的に周知する。
- 新入社員研修など、様々な機会を通じて周知する。
- 通報窓口の利用方法や通報後の流れを分かりやすくまとめたマニュアルを作成し、アクセスしやすい場所に配置する。
通報の心理的ハードルを下げる体制構築
通報者が安心して窓口を利用できるように以下の点を明確に示しましょう。
- 秘密の厳守:通報者の情報は厳重に管理し、許可なく第三者に開示しないことを明記する。
- 不利益な取り扱いの禁止:通報を理由とした解雇や降格など、いかなる不利益な取り扱いも行わないことを明記する。
- 公平・中立な調査:通報された内容について、中立的な立場から事実関係を調査することを明記する。
通報しやすい窓口づくり
相談しやすい窓口を作る工夫をしましょう。
- 窓口を顧問弁護士にしない:通報先が企業の顧問弁護士だと、顧問弁護士が企業に忖度する恐れを考慮して通報に消極的になる。
- 窓口担当者を複数選任する:男女比率が同率になるように、また、複数の担当者を選任することで、安心感が出る。
- 匿名通報を受け付ける
窓口の信頼性向上
内部通報窓口が形骸化しないように工夫をしましょう。
- 調査・是正の徹底:通報内容に基づき、迅速かつ適切な調査を行い、事実確認や再発防止策を講じる。
- 結果のフィードバック:調査結果や是正措置の内容は、通報者に対して適切にフィードバックする。
- 運用状況の公開:通報件数や処理状況などの運用状況を定期的に公開することで、透明性を確保する。
- 定期的な見直し:内部通報制度や運用方法について、定期的に見直しを行い、改善を続ける。
まとめ
内部通報制度の効果的な運用には、通報窓口の選定、複数の担当者の配置、迅速かつ適切な調査と是正、通報者へのフィードバック、そして定期的な制度見直しが不可欠です。これらの施策を通じて、透明性と信頼性を確保し、内部通報制度が形骸化しないようにすることが重要です。
※この記事は、2024年10月4日に作成されました。