TOPQ&A記事長男に事業承継するために遺言書を書きたいです。
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長男に事業承継するために遺言書を書きたいです。

創業した会社の事業承継を考えており、長男が承継を前向きに考えてくれています。
事業承継にあたって事前にするべきことはありますか?例えば遺言書を作成する場合、
どういう点に注意しておくべきでしょうか?
事業承継にも様々な形があります。
まずは、相続になった場合の相続税などの試算をして、株式を引き継ぐ時期や方法について検討をしましょう。思わぬ課税とならないよう、株価の評価の見直しを検討することも有用です。
さらに、無用な争いやトラブルを避けるためにも、法定相続分や遺留分に配慮をした遺言の作成はマストです。

回答者
萩生田 彩 弁護士
NEXTi法律会計事務所

はじめに~社長にとっての遺言書とは~

社長にとって遺言は、全員が書いておくべき大切なものです

遺言」とは、自分の死後、生涯をかけて築き上げた大切な財産を誰にどのように分けるかを示した意思表示のことです。

社長にとっては、事業や従業員の人生を左右しかねない重要な財産の振り分けを記載しておくものですから、非常に重要なものであることは言うまでもありません。

遺言書の法的な効力

遺言がなかった場合、亡くなった後の相続や会社の引き継ぎはどうなるでしょうか。

法定相続人の間で、遺産分割協議という話し合いを行い、誰がどの財産を引き継ぐかを決めていき、遺産分割協議書という書類を作成することになります。

この遺産分割協議がまとまらない場合、遺産分割調停・審判という長期に渡る裁判手続に及ぶこともあります。

他方で、適切な遺言書があった場合はどうでしょうか。

基本的には、遺言書に書かれた内容通りに相続をすることになり、一定の場合を除いては遺産分割協議の必要がありません。また、予期せぬ争いを未然に防ぐことができます。

経営者が亡くなった際、親族間の相続争いが原因で会社が不安定な状況が続き、取引先や従業員に迷惑をかけたり、場合によっては倒産という結果を招いたりしてしまうこともあります。

経営者が、亡くなる前に十分な準備をしておくためには、遺言の作成は必須といえるでしょう。

また、遺言では、①相続人の廃除、②遺贈、③相続分の指定、④分割の一定期間の禁止、⑤認知、⑥遺言執行者の指定などができます。

実際の対応時のポイント

経営者にとって、遺言の作成が必須であることはおわかりいただけたと思います。しかし、いざ作成してみようとすると、どこから始めたら良いか、どのような注意点があるのかなど、疑問点がたくさん出てくると思います。

その際の大まかなポイントとしては、①余計な課税が生じないようにする、②無用な争いが生じないようにする、ということになります。

課税について

まずは、現状の株価を前提に「今相続が開始したとしたら、相続税がどのくらいかかるか」を試算してみましょう。

その上で、場合によっては相続で株式を承継するのではなく、生前に承継する方が有利な場合もありますし、一刻も早く暦年贈与を始めた方が良い場合もあります。

また、非公開株式の場合、実際の価値と株価の評価額に乖離がある場合があります。例えば、随分昔に買って使用していない別荘が簿価のまま計上されている場合や、保有している株式が値上がりしていて含み益がある場合など、様々なケースがあります。

このあたりを一旦整理してみるのも良いでしょう。

さらに、どの財産を誰が承継するかによって、課税額が異なる場合があります。

争い防止

まずは遺留分への配慮が必要になります。

遺言を作成すれば、基本的にはその通りの内容の相続ができます。しかし、遺留分の侵害があるとスムーズな手続を行うことができないこともありますので、その点には配慮をした方が良いでしょう。

また、遺言は亡くなった方からの最後のお手紙でもあります。「付言事項」といって、自由に記載ができる箇所を設けることができますので、なぜそのような内容の遺言になったのかを丁寧に記載しておくことで、無用な争いを避けることができます。

 

以上が遺言作成時の大まかなポイントになります。

まとめ

以上見てみてきたように、経営者にとって遺言は欠かせないものですが、きちんと作成するには、税金や法律など様々な視点から検討することが大切です。

これまで育ててきた大切な会社を引き継ぐという重要な事柄への対策ですので、遅すぎることはあっても早すぎることはありません。

弁護士や税理士にぜひ気軽に相談をしてみてください。

この記事は、2023年10月27日に作成されました。

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