居眠りを繰り返す従業員にどう対応したらよいでしょうか?
はじめに
解雇手続きはそれ自体に紛争化リスク、また訴訟になった場合には敗訴リスクを抱える手続です。
これに対し、従業員が自身の行動に非があることを認識するなどして自ら退職した場合、解雇手続きの場合よりも紛争化のリスクは下がるでしょう。また、そもそも当該従業員が、認識を改めて居眠りをしなくなり、業務に専念するようになれば、使用者にとっても無用な紛争を抱えなくて済むことになります。
そして、そのための一つの方法として、「従業員が居眠りを繰り返し、業務に従事していないこと」を反映した評価を行い、当該評価の程度に応じて降格・降級などを選択するなど、人事評価を適切に運用することが考えられます。
人事評価制度の適切な運用
従業員に対する解雇の相談の中には、解雇をしたいと言いながら、それまでの人事評価ではいずれも問題なし、あるいは、平均よりも高い人事評価をし、他の従業員と一律に昇格・昇給しているようなケースが散見されます。
つまり、就業規則などで用意されている人事評価制度が全く機能していないのです。
問題となる従業員からすれば、上司から口頭で注意されることはあっても、人事評価の中では、居眠りについてマイナス評価を受けていないわけですから、居眠りを改善する動機に欠けるでしょう。
一方で、従業員が以下のような事実を明確に認識すれば、居眠り行動を改善するきっかけになります。
・人事評価制度の中で、居眠りについて具体的日時・回数・程度、その都度の注意されている事実について、指摘を受けていることや改善がないことなどが、評価上マイナス点として反映されていること
・評価の内容に応じて降格・降級という不利益があること
また、明確な注意にもかかわらず居眠りを繰り返すなどして降格・降級となり、かつ、使用者の対応に非が無い場合(たとえば、当該従業員だけを狙った評価制度の運用ではない、降格・降級の評価基準が客観的で過剰なマイナス評価ではないなど)、従業員は、自らの行動に責任を感じて退職を申し出るものと予想されます。
まとめ
上記のような人事評価制度を適切に運用しているにもかかわらず、なおも居眠りを続ける従業員に対し、就業規則の内容に即した懲戒処分なども行いつつ、最終的な手段として解雇手続きを行うことが考えられます。既に多くの書籍やネット記事で、解雇手続きのポイントが語られているところですので、それらも参考にしつつ慎重に行うようにしてください。
※この記事は、2024年1月16日に作成されました。