契約社員が勤務成績不良だった場合、雇い止めはできますか?
次回の契約満了のタイミングで雇い止めをしたいのですが、可能でしょうか?また、トラブルなく雇い止めするためには、何か注意点はありますでしょうか?
労働契約法19条による制限
有期雇用契約は、使用者が更新を拒否したときは、契約期間の満了により雇用が終了するのが原則です。
つまり、ご質問にある3か月契約で採用した契約社員について、会社が「更新しない」と判断すれば、契約期間満了により契約社員との雇用契約は終了することが原則となります。
このように、有期雇用契約において雇用期間を更新せずに契約を終了させることを「雇止め」といいます。
しかし、労働契約法19条により、雇止めが制限される場合があります。
具体的には、以下のいずれかに該当する場合で、使用者の雇止めが「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇止めが認められません。
- 過去に反復更新された有期雇用契約で、その雇止めが無期雇用契約の解雇と社会通 念上同視できると認められるもの
- 労働者において、有期雇用契約の契約期間の満了時に当該有期雇用契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの
ご質問のケースの場合
ご質問のケースの場合で、次のような事情があると、雇止めに正当事由等が必要になります。
例えば、更新の際に更新後の雇用契約書を締結せずに更新手続きがされていない場合や、更新後にあとから雇用契約書を取り交わしているような場合、雇入れの際に「契約期間は3か月だけど、必ず更新するから安心して入社して欲しい」「契約期間は形だけのもの」などと話している場合等には雇止めが認められない可能性が発生します。
この場合でも、本件では「業務指示に従わないためにトラブルが頻発しており、成績も低いまま改善しない」ということを理由にして雇止めをおこなうことが考えられますが、勤務態度や能力に問題がある労働者に対しては、繰り返し注意指導を行って改善を促し、もし改善がない場合には更新できない旨を予告しておく方が良いでしょう。
しかし、客観的合理性と社会通念上相当性の有無は厳格に判断され、容易には認められません。
有期雇用契約の実務上の注意点
有期雇用契約を締結する際には、契約期間の定め、契約の更新をする場合があるかどうか、更新するか否かをどのような基準で決定するのか、更新上限の有無とその内容等を労働者に明示する必要があります。
有期雇用契約の更新に関する手続は、更新のたびに行うことが重要です。更新前に面談をおこない、更新の意向を確認し、新しい雇用契約書を締結するよいでしょう。これが形骸化していると、雇止めをした場合に労働契約法19条により雇止めが無効とされるリスクが生じます。
また、雇用期間の満了に伴い雇止めをする場合、雇用契約が3回以上更新され ている場合や、最初の雇用から1年を超えて継続勤務している場合には、少なくとも30日前までに予告をしなければなりません。
まとめ
有期雇用契約を締結している場合、問題がない労働者の場合でも、契約期間を管理し、日ごろから更新手続をしっかりやっておくことが重要です。
更新手続をやっていなかったり、更新後におこなったりしていると、問題社員について雇止めをしようとする場合に、雇止めが認められないリスクが発生します。
- 厚生労働省ウェブサイト「労働契約(契約の締結、労働条件の変更、解雇等)に関する法令・ルール」
※この記事は、2024年6月28日に作成されました。