TOPQ&A記事知り合いに貸したお金が返ってきません。
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知り合いに貸したお金が返ってきません。

知り合いに頼まれ、個人的にお金を貸し付けたのですが、なかなか返済をしてくれません。返済してもらうにはどのような手段をとるべきでしょうか。
まずは、その知り合いのメール、LINE、SNSなど何らかの連絡先が分かるのであれば、メッセージで督促してみましょう。
それでも支払わないようであれば内容証明郵便を送付します。
内容証明郵便を送付しても支払わなければ、法的措置をとります。
具体的には、支払督促、民事調停、訴訟提起の方法があります。
回答者
小倉 勇輝 弁護士
弁護士法人HAL 秋葉原本部

メール、LINEなどSNSで支払を督促する

相手のメールアドレスやLINEやX(旧Twitter)、InstagramSNSアカウントを知っている場合は、まずはメッセージで返済の連絡をしてみましょう。
知人は、返済日を忘れているだけ、お金を借りたことを忘れているだけかもしれませんので、最初からあまり強硬的な手段にでてしまうのは、これまで築いてきた関係を崩すことになりかねず得策とはいえません。
メール、SNS等での連絡であれば、絵文字や顔文字を入れたり、言い回しを工夫したりすることによってフランクに返済の督促をすることができ、関係性に悪影響をおよぼすことは少ないでしょう。
他方、メール等とはいえど、より厳しい雰囲気で督促したい場合、請求書を添付してメッセージを送信することができるため、相手にことの重要性を認識してもらえます。

ここで、電話や直接会うのではダメなのか?と疑問に思われる方もいるかと思います。
知人にお金を貸す場合、それまでの関係性から相手を信用してしまって、契約書を作成しないでお金を貸してしまう方が多いです。
メールやSNSのメッセージで督促すれば、仮に契約書がなくとも、こちらに「お金を貸した」認識があったということが客観的な記録として残ります。
これに対し、相手から返済する旨の返信があれば、相手にもお金を返済しなければならない認識があることが客観的な記録として残ります。
そのため、電話や直接会って督促する、という方法よりも、メール、SNSのほうが客観的記録にのこるという点でメリットがあると考えます。

また、電話や直接会って督促すると、冷静さを欠いてしまうことも少なくありませんから、冷静に対応できるという意味でも、メールやSNSでのメッセージの方がよいでしょう。

内容証明郵便を送付する

上記の方法でも返済を開始しない、メールやメッセージを無視される、ということであれば、内容証明郵便を送付しましょう。
内容証明郵便とは、郵便局が差出人、宛先、内容、差出日を証明する郵便で、法律や契約に基づく通知や請求をするときに用いられます。
このように、内容証明郵便は、普通郵便と異なり、特別な方法による郵便です。
特別な方法で郵送することによって、メールやメッセージでは伝わりづらい、こちらの債権回収に対する本気度を相手にアピールできます。
また、こちらがお金を貸したという認識であったことを証明する、メール等よりも強い証拠にもなります。 

なおここまでの方法で相手と返済について合意ができた場合は、必ず公正証書を作成しましょう。強制執行が可能となります。

法的措置をとる

内容証明郵便を送付しても、お金を返済してもらえないようであれば、法的措置に訴え出ましょう。
裁判所の判決等が確定すれば、相手の給与債権を差し押さえるなどの強制執行をすることができるようになります。具体的な法的措置の方法としては以下があります。

支払督促

支払督促とは、簡易裁判所からお金を借りたに対して支払いを促す督促状を送ることです。後で解説する民事調停や訴訟提起よりも簡単にできるので、法的手段の中では最も気軽にできます。

相手が、督促状を2週間無視すると「仮執行」、さらに2週間無視されると「強制執行」が可能になります。
もし相手が督促状に異議申し立てをおこなった場合、訴訟手続に移行します。

民事調停

民事調停とは、裁判官、調停員に間に入ってもらい、話し合いで解決を目指す法的手段です。
ただし、相手が欠席することも想定できます。
訴訟とは異なり、相手が欠席したからといってこちらの主張を相手が認めたということにはなりません。

訴訟提起

調停への欠席が複数回続く、調停で話し合っても解決しない場合は訴訟手続きに切り替えます。
知人に貸した金額が60万円以下であれば少額訴訟を、60万円を超える場合には通常訴訟を提起します。
通常訴訟は少額訴訟と異なり、口頭弁論のやり取りなどが複数回おこなわれるので、かなりの時間と体力を要しますから、弁護士に依頼するのがおすすめです。

お金がない知人への対処法

私も質問内容と同様の質問を受けることがありますが、お金を借りた知人が返済できるだけの資力を持っていないことが多いです。
そのような場合、相手は、分割払を提案してくることがあります。
お金をすぐに返済してもらいたいという焦りや、本当に約束どおり返済してくれるのかという不安から、分割払に応じない、相手には到底支払えないような金額の分割を要求する方が多いです。
ですが、実現不可能な支払方法を相手に課したところで、支払の継続は不可能になり、に結局また返済してもらえないという事態を繰り返す…ということになりかねません。
そうならないように、多少の分割払に応じてあげたほうがはやく返済してもらうことにつながるかもしれません。

 

※この記事は、2024年12月5日に作成されました。

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