オンラインで不動産投資ビジネスを始めるためにどんな手続きが必要ですか?
許認可や届出などの必要な手続きや、その他の注意すべき点などあれば教えてください。
実際に許可を受けるためには、相応の時間をかけて審査をクリアする必要があるため、早めに専門家に相談して効率的に進めることをお薦めします。
必要な許認可等の概要
不動産の売買や賃貸等の取引をビジネスとして行うためには、宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引業の免許を受けることが必要です。
さらに、事業会社が、不動産の取得資金をクラウドファンディング形式により調達し、その不動産から生じるインカムゲインやキャピタルゲインを投資家に分配するビジネスをしようとするためには、不動産特定共同事業法に基づく許可等を受けることが必要です。投資家との契約手続等をオンラインで完結させるためには、国土交通省が定める「不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドライン」にも対応する必要があります。
不動産特定共同事業の種類
不動産特定共同事業は許可制で、以下の4種類に分かれていますので、想定するビジネスに適した事業を選択して許可申請を行うことになります。自ら投資家と契約をして不動産の運用まで行う場合には、1号事業の許可が必要です。
1号事業 |
投資家との間で不動産特定共同事業の契約を締結して、その契約に基づき営まれる不動産取引から生じる収益又は利益の分配を行う事業 |
2号事業 |
不動産特定共同事業についての契約の締結の代理又は媒介を行う事業 |
3号事業 |
不動産特定共同事業専用の法人から委託を受けて、その者が投資家との間で締結した不動産特定共同事業の契約に基づき営まれる不動産取引に係る業務を行う事業 |
4号事業 |
不動産特定共同事業専用の法人が当事者となる不動産特定共同事業の契約の締結の代理又は媒介を行う事業 |
なお、投資家1人あたりの出資額及び投資家からの出資総額が、それぞれ原則100万円、1億円を超えないビジネスモデルについては、「小規模不動産特定共同事業」として、緩和された登録制が用意されています。想定する事業規模によっては、小規模不動産特定共同事業への登録を検討するとよいでしょう。
許可を受けるための主な要件
不動産特定共同事業の許可を受けるための主な要件として、資本金(1号事業者:1億円、2号事業者:1000万円、3号事業者:5000万円、4号事業者:1000万円)、良好な財産的基礎、構成かつ適確に事業を遂行できる人的構成、事務所ごとの業務管理者配置などがあります。
また、いわゆるクラウドファンディング業務を取り扱う場合には、電子取引業務を適確に遂行するために必要な体制整備も要件とされています。インターネット上で契約成立前の説明や契約の締結を行うにあたって、投資家が事業に係る重要な事項についての情報を十分に得ないまま投資の意思決定を行うことのないようにするためです。
許可等を受ける上でのポイント
実際に許可等を受けるためには、審査を担当する部署に事前連絡を行い、書類の準備や面談などをしながら進めていくことになります。事業の内容や当局の繁忙状況等によっては、1年やそれ以上の期間を要する例もあるため、余裕をもって計画を立てることが必要です。
また、許可を受ける過程においては、具体的な要件を定める関係法令やガイドラインの解釈や運用をめぐり当局側との折衝を行うべき場面も多くなります。早めに専門家に相談して、効率的に進めることを検討するべきです。
※この記事は、2024年1月24日に作成されました。