台湾企業とパートナー契約をして台湾進出する際、どのような点に気を付けるべきでしょうか。
契約の作成
日本企業と台湾企業の間で契約を結ぶ場合、まずどちらの企業が契約を作成するのかを決める必要があります。一般的にはルールを決めた側が比較的有利であるため、費用はかかるものの、自社側で用意するほうが望ましいです。
次に、自社で用意する場合、日本弁護士と台湾弁護士のどちらに依頼するかどうか悩まれると思います。台湾進出のための契約であれば、台湾会社法や会社定款などが関わるため、台湾の事情により詳しい台湾弁護士に依頼するのが望ましいです。もちろん、日本弁護士を通して台湾弁護士に依頼するケースも多いです。
契約の言語
外国企業と契約を結ぶ場合、どの言語で契約を作成するのかを決める必要があります。台湾企業との締結の場合、日本語のみ、日中対照、英語のみのパターンが考えられますが、自社と相手方のパワーバランスやそれぞれの社内事情等があるため、どれが最適なのかは一概には言えません。
日本企業としては日本語のみの契約が最も望ましいかもしれませんが、相手方(特に社内で日本語対応ができる者がいない場合)が同意しない可能性は高いです。
折衷案として日中対照にする場合、日本語と中国語の内容が一致しているのかをきちんと確認する必要があります。これは契約条文の法的解釈にかかわるため、確認作業はできれば社内で完結せずに、弁護士に依頼しましょう。
また、近年において、ビジネスのグローバル化や効率化を推進するため、事前に英語の雛形契約を作成したうえで雛形を使用する企業が増えています。
営業秘密に対する保護
台湾には営業秘密を保護する「営業秘密法」があり、原則として日本企業の営業秘密も保護対象になります。ここでいう「営業秘密」とは、方法、技術、製造工程、配合、プログラム、設計、その他生産、販売または経営に使用できる情報で、且つ以下の要件を満たすものです。
- このような種類の情報にかかわる人が一般的に知ることのできないもの。
- その秘密性によって実際に又は潜在的に経済価値のあるもの。
- 所有者が既に合理的秘密保持措置をとったもの。
台湾の営業秘密法を遵守するためには、自社の営業秘密が上記の条件を満たしているかどうかを点検する必要があります。そして、営業秘密法の規定によれば、営業秘密を他人と共有する場合、契約に決まりがない限り、営業秘密の使用又は処分する際、共有者全員の同意が必要です。
このため、どのような営業秘密を相手方と共有するのか、どの程度まで共有するのか、どのようなことを契約で定めるのかをしっかりと検討する必要があります。
個人情報に対する保護
台湾にも個人情報保護法があります。台湾個人情報保護法における個人情報とは、個人の氏名、生年月日、国民身分証統一番号、パスポート番号、身体的特徴、指紋、婚姻状態、家庭事情、教育背景、職業、病歴、医療データ、遺伝子、性生活、健康診断、犯罪歴、連絡先、財務状況、社会活動及びその他の直接的又は間接的に当該個人を識別できる情報です。自社が保有している個人情報を他人と共有するには、本人の同意又はその他の条件を満たす必要があります。
違反した場合は過料などの罰則があるうえ、本人から損害賠償を請求される恐れもあるため、共有できるかどうかを事前に弁護士に相談することが重要です。
まとめ
外国企業とビジネスをする場合、日本の法律だけでなく、外国の法律に違反しないかも確認しなければならないため、国内案件より時間、労力と金銭がかかります。そのため、できるだけ余裕をもって弁護士に相談することをお勧めします。
※この記事は、2024年6月10日に作成されました。