パワハラにならない部下指導の仕方を知りたいです。
パワハラと指導を線引きするのが難しいのですが、指導する側はどのような基準を持つべきなのでしょうか。
対等な立場であっても使う言葉か、を基準とする
パワハラと言われることを恐れて、部下指導に及び腰になってしまう、と悩む管理職やマネージャーが増えています。
パワハラとは、厚生労働省の定義からしても、「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」がこれに該当するため、通常の指導がパワハラになることはありません。しかし、どこからが「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」こととなるのか、心の中で基準を設定していなくては、しっかりとした部下指導はできません。
そのため「対等な立場であっても使う言葉かどうか」を基準として意識し、パワハラを避けることが、私のお勧めです。
上司と部下の関係では、上司の立場に甘えて、強い言葉や感情的な発言をしてしまうことがあります。これがパワハラの原因です。そのため、上司と部下ではない、対等な人、社外の人、あるいは、あまり親しくない知人と話す際に使うような言葉遣いと態度をとっているのであれば、指導がパワハラにあたることはありません。
上司と部下の関係に甘えない
対等な人であっても、あってはならないミスをしたときや、非常識な行動にでたときは、「それはおかしい。」「何をやっているんだ。」という言葉が出ると思います。
しかし、ミスを指摘するような場面であっても、対等な立場の人に対して「お前のような人間はクズだ、人生の落伍者だ。」「お前の顔も見たくない、この給料泥棒が。」といった言葉は出ないでしょう。これらの言葉は、上司から部下へのパワハラ、といった場面で出てしまうような言葉です。
なぜ、対等な人には出ないような言葉が、上司から部下には出てしまう危険があるのでしょうか?
それは、パワハラが「上司と部下」の関係に甘えている状況から、生じるものだからです。
毎日のように「上司と部下」として、立場の優位性に慣れきってしまうがゆえに、無意識のうちに、心に甘えが生じます。「自分は偉いんだから、こういった言動をしてもいいのだ。」といった、無意識に生じる、この甘えが、強すぎる言動や、侮辱的な発言を引き起こし、パワハラが発生するのです。
感情をコントロールするのも仕事のうち
上司から部下への言動を適切なものとするためには、まず感情をコントロールする必要があります。
これからの時代、感情のコントロールは、管理職に必要な1つのスキルであると考えましょう。
指導の際に感情的になると、メッセージが歪んで伝わります。伝えるべきことは伝わらず、部下のモチベーションは低下し、パワハラとして問題とされるリスクも高まります。
感情をコントロールするためには、まず「怒っている。」「がっかりしている。」等の自分の感情に気づき、それを認識することが重要です。
また、感情が高ぶった場合は、一度冷静になり、どういった言葉で指導すべきか、指導計画を思案するなど、時間を取ることが効果的です。重要なフィードバックを行う際には、事前に話す内容を整理し、メモを用意することもお勧めです。
まとめ
パワハラを避けつつ効果的に部下を指導するためには、「対等な立場であっても使う言葉」を基準とし、上司と部下の関係に甘えず、感情をコントロールすることが重要です。
冷静な態度とフィードバックを心掛ければ、あなたの指導がパワハラと誤認されることはないはずです。また、会社側としても、適切な指導についてまで、パワハラだと誤った判断をすることは避けましょう。
以上を心掛けることで、言うべきことは言うが、ハラスメントはない、明るく生産性の高い組織を目指すことができます。
※この記事は、2024年5月30日に作成されました。