労基署から立入検査を行うとの連絡があったらどうすればよいですか?
調査前に自主的な改善に着手することが重要であり、弁護士等に事前改善、調査立合を依頼し、法令に沿った会社運営ができることを監督官にアピールすることが肝要です。
目次
労基署による立入調査とは~調査から是正勧告まで~
調査の内容
立入調査が行われる契機については、①監督計画に基づきなされる定期調査、②労働災害が生じたときになされる調査、③労働者の申告に基づきなされる申告調査等があります。
立入調査の他に、使用者に資料を持って出頭させる呼出調査もありますが、いずれの調査も、労働関係に関する資料(就業規則等の社内規程、雇用契約書・タイムカードなどの労働条件や労働実態が分かる一切の資料)の提出を求められます。
また、監督官からの使用者等へのヒアリングや、事業場内の立入りがなされ、会社の労働実態の把握と各種労働関係法令を遵守しているかの確認がされます。
以上のような資料精査やヒアリングなどを経て、主に残業代、長時間労働、就業規則、などについて問題がないかを調査されることとなります。
調査後の流れ
そして、立入調査により、会社において改善が必要な点や、法令違反の点が認められる場合には、その点について改善指導や是正勧告がなされ、指導票や是正勧告といった書面が交付されます。
会社としては、その実施事項ごとに指定された期限までに、改善・是正したことを書面で労基署に報告しなければなりません。これに従わなかった場合、その法令違反の内容ごとに定められた罰金または懲役の刑事罰が科される可能性がありますので、十分に気をつけてください。
調査に対する準備の重要性
資料の整理と改善への着手をしよう
以上のように立入調査では監督官から確認を求められる書類が多くありますし、ヒアリングに際しては労働管理の実態を正確に説明しなければなりません。そのため、事前に準備をして整理をしておく必要があります。
これらの点について準備不足となると、監督官に対して労務管理について無関心な企業であるとの印象を与えることとなり、また調査までに改善できた労務関係書類の不備がそのままとなり、指導等の対象となってしまいます。
まずは、改善できる項目については速やかに着手することを薦めます。
今後の改善計画を立てよう
次に、調査までに改善が完了しない項目についても準備が重要となります。
この点については、改善への着手を行い、改善計画を立てておくことで、監督官には、すでに改善に着手している内容を伝えることができますし、今後の改善計画を提示することで、調査を円満に乗り切ることができます。
まとめ
労基署の立入調査、それに続く是正勧告がなされた場合は、会社としては慎重な対応を行う必要があります。
立入調査の前の段階から弁護士等に依頼することで、事前に改善に着手することができ、調査でも会社としての主張や改善への取り組みをアピールすることができます。
突然の立入調査の連絡に驚かれると思いますが、法令に沿った会社運営をしていく一つの契機として、労働法務の専門家などに相談をされ、体制を整えていくことが必要と考えます。
※この記事は、2024年2月16日に作成されました。