債権回収を弁護士に依頼するかどうか判断する基準を教えてください。
未収金がどのくらいの額であれば、弁護士に依頼して費用倒れになりませんか?
また、額のほかにも考慮要素があれば教えてください。
弁護士費用の種類・内容
弁護士費用は,一般的に着手金と報酬金に分けられます。
着手金は弁護士に事件を依頼した段階で支払うものであって、弁護士の業務に対する対価としての性格を有します。
報酬金は、事件が終了した際に、その成果に応じて発生するものです。
債権回収の弁護士費用の算定方法
債権回収を弁護士に依頼する場合、どこまでの業務を弁護士に依頼するかによって費用は変わります。
弁護士が債権回収業務を行うにあたってまず初めに行うことは、内容証明郵便による督促であることが多いです。一定程度の債務者は、弁護士から内容証明郵便が届くことで驚き、債務を支払ってくることがあります。
そのため、まずは債務者に督促をしてみるのですが、内容証明郵便を送るだけであれば、数万円の費用で収まることが多いでしょう。
次に、内容証明郵便を送ったけれども債務者から何の反応もない場合には、訴訟を提起する必要があります。
現在の弁護士は事務所毎に報酬基準を定めておりますが、過去には弁護士報酬は統一されておりました。過去の統一基準である旧弁護士報酬基準によると、請求金額が300万円以下の場合の着手金が8%(最低着手金10万円)、報酬金が16%と定められており、現在でもこの基準を使用している弁護士事務所は多いです。
旧弁護士報酬基準を前提に考えてみると、請求金額にかかわらず、訴訟の場合の最低着手金が10万円ですので、少なくとも回収すべき未収金が10万円以上でないと費用倒れになってしまいます。
回収可能性
債務者に訴訟を提起し、判決を取得しても債務者が支払わないこともあります。その場合、債務者の財産に強制執行を行うことになります。強制執行についても弁護士費用として着手金・報酬金が発生します。
費用倒れになるかどうかという観点で一番重要になるのは、債務者の資力です。
債務者に支払う意思だけでなく資力もない場合には、強制執行を行っても空振りに終わってしまい、費用倒れになるリスクがあります。他方で、債務者に支払う意思がないだけであって資力はある場合には、強制執行によって回収できる可能性が高くなります。
まとめ
債権回収にあたり弁護士に依頼すべきか、費用倒れにならないかについては、請求する債権の額、債務者の対応、債務者の資力等を的確に判断しなければなりません。
そのため、債権回収でお困りの場合には、回収の見通しについて一度弁護士の見解を聞いてみるのがよいでしょう。
- 日本弁護士連合会ウェブサイト「弁護士費用(報酬)とは」
- (旧)日本弁護士連合会弁護士報酬基準
※この記事は、2024年2月6日に作成されました。