自分自身で未収債権を回収したいです。適切な流れを教えてください。
未収債権の回収を行うにあたって確認すること
取引先からの支払いがない場合など、未収債権が発生した場合、回収活動に着手しなければなりません。
まずは請求の根拠となる証拠が揃っているかを確認します。たとえば、契約書、発注書・請書といった書面が典型的ですが、メールなどのやり取りなども証拠となりえます。契約書などは作成していないという場合は、金額の根拠が分かるものがあるかが重要になります。例えば、請求の根拠となる取引があった証拠、売買であれば納品書や受領書など、請負や業務委託であれば作業報告書などが考えられます。
また、支払時期が上記の契約書などに記載されているかを確認します。
自分でできる債権回収
まずはご自身で回収してみようという場合、最初に検討する手段は、書面で督促(催告)することです。もちろん、請求書を送付済みのことがほとんどだと思いますが、事務的な請求書ではなく、改めて書面で請求することでこちらの請求の意思を明確にし、相手方に支払いを促すことが重要です。その場合、「内容証明郵便」による送付が適切です。請求をしたことの証拠にもなりますし、相手方に未払いは重大な問題であることを認識させることができるためです。内容証明郵便は、郵便局に書面を持ち込む方法と、電子内容証明による方法とがありますが、法的な効果は同じです。
次に、請求書を送付して相手方の反応を見ます。相手方から連絡があった場合、相手方から分割弁済の申入れがあり、それを受け入れるのであれば、公証役場に依頼して「強制執行認諾文言付公正証書」を作成してもらうのが良いでしょう。そうすることで、万一支払いが滞った場合に、裁判をすることなく公正証書によって強制執行を申し立てることができます。
他方、相手方から連絡がなく、いわば無視されている場合は、法的手続を検討することになります。
自分でする法的手続
上述したような証拠があり、事実関係に争いがないような場合、弁護士に依頼せずにご自身で裁判をすることもできなくはありません。特に、請求額が60万円以下であれば、簡易裁判所の「少額訴訟」を利用することで、原則として1回の期日で判決を得ることができますし、話し合い(和解)をすることもできます。
60万円を超える場合などには、「支払督促手続」を利用することで、裁判所から相手に対し、申し立てた請求額の支払いを命じてもらうこともできます。この手続は裁判所に出頭する必要はありません。
他方、事実関係に争いがある場合には、裁判手続が長期化することが予想されますし、相手方が弁護士を付けることも考えられます。したがって、そのような場合には、弁護士にご依頼いただくのが適切なことが多いと思います。
確実に回収するために
判決などを得た場合でも、相手方が支払わなければ、強制執行手続を行うことになります。強制執行の申立てもご自身でできる場合もありますが、差し押さえの対象によって方法が変わるなどしますので、手続を依頼されるかどうかは別として、弁護士にご相談いただくのが効率的だと思います。
※この記事は、2024年1月11日に作成されました。