未収金が蓄積しない仕組みを作りたいです。
売掛金の管理体制の整備
未収金が蓄積する原因の一つに、自社における売掛金の管理体制が不徹底であるということが挙げられます。まず、売掛金台帳を整備し、得意先、発生日、入金日、金額を一覧にして、売掛金を確実に把握するようにしましょう。
その上で、入金予定日に入金が確認できない場合は、迅速に取引先への連絡を行い、遅延の理由と新たな入金予定日を約束してもらいます。約束された日にも入金がない場合は、再度確認の連絡を行うようにしましょう。これらの連絡は、取引の詳細や取引先担当者をよく知る営業担当者が行うことになりますので、売掛金管理を経理部門任せにするのではなく、経理と営業の両部門が連携して取り組むことが重要です。
取引相手の選別と情報収集
支払遅延や倒産などと無縁な、信用できる取引相手を選別して取引するように心掛けることで、売掛金の未回収リスクを減らすことができます。
新規の取引先については、取引開始前に可能な限り正確な情報を収集して、信用に足りる相手なのかどうかを見極めるようにしましょう。判断材料となる情報としては、決算書、商業登記簿謄本、本社や経営者自宅の不動産登記簿謄本といった客観的資料に加えて、関係各所から聴取した内容も重要です。
取引を始めた後も、これらの情報を定期的にチェックし、引き続き信頼できる取引先であるかを確認するとともに、経営者や担当者の態度、オフィスや事業所の雰囲気、従業員の様子等から、取引先の状況を把握するようにしましょう。
売掛金の回収サイトの短縮
売掛金の回収サイト(支払時期までの期間)が長いと、それ自体が売掛金の未回収リスクの要因となります。逆に言えば、売掛金の回収サイトを短縮することは、未回収リスクを低減し、資金繰りを改善することに直結します。そこで、営業担当者に回収サイト短縮の重要性をよく理解してもらい、売掛金の回収サイト短縮のための努力をしてもらうべきです。
新たな取引先に対しては、取引条件の交渉において、相手の希望や状態を尊重しながらも、できる限り短い回収サイトを前提とした条件設定を求めるようにします。
既存の取引先に対しては、業界の慣行や長年の取引関係の中で、売掛金の回収サイトの短縮を求めることが難しい場面もあります。その場合でも、新しい商品の販売や新サービスの導入時等のタイミングを利用して、これまでよりも支払時期を早くすることを提案するなどの働きかけに努めましょう。
契約書の整備
口約束だけでも契約は成立しますが、取引の規模や内容にかかわらず契約書を作成しておくことが望ましいことは言うまでもありません。契約書は、契約内容を明確化するためのものであると同時に、紛争の解決指針や解決方法を定めておくもの、そしてそれにより債務不履行を未然に防ぐためのものでもあります。つまり、契約書を作成して取引することで、売掛金の未回収を回避する効果を規定できるのです。
頻繁に取引を行っていて毎回の取引ごとに契約書を作成するのが難しい場合は、個別取引に関する契約書ではなく、継続的な取引全体に共通する事項についての取引基本契約書を締結します。
これまで契約書を交わしていなかった取引先に対しては「当社の新たな方針として契約書を整備することとなった」と伝えて、契約書作成に向けた協力を求めます。そのような要求が難しい場合には、新しい製品やサービスの販売、会社の体制の変更のタイミングで契約書の作成を提案すると良いでしょう。
※この記事は、2023年10月19日に作成されました。