セクハラ防止のために、どのような対策から始めるべきでしょうか?
セクハラに関する方針(懲戒等の処分を含む)の明確化
まず、職場において何がセクシャルハラスメント(セクハラ)となるのか、その内容とセクハラを行ってはならない旨の方針を明確にして、就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書で定めることが必要です。身体的な接触だけでなく、性別役割分担意識に基づく言動も該当することを明示しましょう。就業規則等にてセクハラをした場合には、懲戒規定の適用の対象となる旨も明記が必要です。
相談窓口の設置
次に労働者からの相談に対し、内容や状況に応じて適切に対応するために、相談窓口の設置が必要です。相談に対応する担当者をあらかじめ定め、相談を受けた場合の対応の流れを決めましょう。相談窓口では、被害を受けた労働者が相談を躊躇する場合もあること等も踏まえ、相談者の心身の状況にも配慮しながら、広く相談に対応し、適切な対応を行うことが大切です。対応マニュアルやフロー図を作ることなどによって、相談窓口の担当者が相談を受けた場合に、内容や状況に応じて、相談窓口の担当者と人事部門が連携を図ることができる仕組みにしましょう。
労働者への周知・啓発方法
就業規則は、周知されていないと無効とされます。就業規則にセクハラの指針、懲戒規定を定めた場合には、労働者に周知することが必要です。また、具体的に理解してもらうため、社内報、パンフレット、社内ホームページ等で広報し、啓発のための資料等にも記載して配布しましょう。セクハラの発生原因や背景について、弁護士等の専門職による事例を交えながらの研修、講習等を実施することも有効です。相談窓口の担当者に対して、相談を受けた場合の対応についての研修を行うことも大切でしょう。
まとめ
「トラブル予防」のためには、前記の体制整備が必要ですが、実際にはそれでも生じてしまった場合に対応を誤ることでトラブルが拡大してしまうケースも多いです。セクハラの相談の申出があった場合、事実関係について、迅速かつ正確な確認をし、適正な対処が必要です。被害者と行為者を引き離すための配置転換や被害者のメンタルヘルス不調への相談対応が出来る組織作りをしましょう。行為者については、懲戒処分などの対処も必要となりますが、処分の有効性が問題になる事例も多いので、時後対応については、必要に応じて弁護士に相談しながら進めていくのが望ましいでしょう。
※この記事は、2024年5月24日に作成されました。