シックハウスの疑いがあるのですが、リフォーム会社に損害賠償請求できますか?
証拠も必要です。喘息の原因について病院でアレルギー検査などをしてもらう必要もありますし、リフォームで使用した建材(床・壁材、芯材や世着材)を把握し、化学物質測定の必要もあります。
目次
はじめに~リフォーム会社への損害賠償請求
喘息発症原因の特定
リフォーム建材が原因でお子さんの喘息が発症したことについては、アレルギー科、小児科、耳鼻咽喉科での受診が考えられます。
原因物質(化学物質)の特定
どんな建材が使用されているかは、まず仕上表(や見積書)で確認してみてください。ただ、芯材や接着剤が原因の可能性もあるので、リフォーム会社へ詳細の確認が必要になることも考えられます。
原因物質(化学物質)の測定
化学物質を測定することも必要です。ご自身で機材を購入して測定することも考えられますが、後にその信用性が争われることもあるので、測定の出来る専門業者に依頼する方が確実です。ホルムアルデヒド濃度の簡易測定であれば、保健所で行ってもらうことも出来ます。
損害賠償項目
損害賠償として請求できる項目としては、調査費、補修費用、治療費、休業損害、逸失利益、慰謝料などが一般的です。
損害賠償の裁判例
裁判例の法的構成
建設業者等に損害賠償請求を行った裁判例には、不法行為に基づくもの、債務不履行に基づくものなどの法的構成があります。
請求が一部認められた裁判例
分譲マンションの購入者が、建材から放散されたホルムアルデヒドによってシックハウス症候群及び化学過敏症に罹患したとして、マンション開発業者に対して不法行為に基づいて損害賠償請求をしました。
簡易測定でホルムアルデヒド濃度が指針値を大幅に上回ると確認された事例でした。建材の選定、リスクの説明、ホルムアルデヒド濃度測定及びその結果を受けての対策といった点にマンション開発業者の過失が認められるとして、購入者の損害賠償請求の一部が認められました。
請求が認められなかった裁判例
以前から化学物質に敏感であった分譲マンションの購入者が、売主にシックハウス対策を施した内装工事を依頼していたのにそれが不十分だったということで、債務不履行と不法行為に基づいて損害賠償請求をしました。
購入者は内装工事の材料にトルエンが含まれ化学物質過敏症に罹患した、測定でも高濃度が検出されたと主張しました。しかし、購入前から症状が悪化していた、工事にトルエンを含有した有機溶剤を使用した形跡が窺われないとして、売主の責任は否定されました。
損害賠償とは別の対策
今回はご自宅のリフォームですから、別の場所に一時的に避難することは容易ではないと思います。ただ、お子さんの喘息の状態によっては、そういう選択肢も考えられます。
一時避難が出来ないときには、可能な限り家全体の自然換気を心掛けて下さい。
最後に
今回の御相談は、まだシックハウスの疑いということですので、まず、お子さんの喘息がシックハウス症候群や化学物質過敏症であるか確認頂くこと、リフォーム工事にシックハウス症候群や化学物質過敏症を発生させる建材が使われたのかを確認頂くことが必要です。
また、裁判は長丁場となりますので、法律と建築の専門家で構成されるADR(裁判外紛争解決手続き)の利用も選択肢です(詳しくは日本不動産仲裁機構 不動産ADRをご参照ください。)。
- 公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターウェブサイト「住まいるダイヤル電話相談事例:新築住宅でシックハウス被害。室内空気測定値は指針値以下だった。今後の対応は。」
- 裁判例
- 1.東京地方裁判所平成21年10月1日判決(請求一部認容)
- 2.東京地方裁判所平成19年2月16日判決(請求棄却)
※この記事は、2024年6月27日に作成されました。