既存の音楽をSNS投稿のBGMに使用したら著作権侵害になりますか?
楽曲の著作権、個別利用許諾について
楽曲を、YouTubeやTikTok、Instagram等の特定の動画投稿サイトに投稿する場合には、公衆送信権(著作権法23条)や複製権(同法21条)に関する許諾を著作権者から得る必要があります。しかしながら、このような許諾を個々に得ないとなりますと、手間がかかり、円滑な楽曲利用が阻害されてしまいます。
そこで、JASRAC等の著作権管理団体は、YouTubeやTikTok、Instagram等の特定の動画投稿サイトと包括的な利用許諾契約を締結し、各投稿者が個別の許諾を得ずとも著作権管理団体が管理する楽曲を含む動画を投稿できるようにしています。そのため、著作権者の個別の利用許諾を得なくとも、JASRAC等管理楽曲については動画投稿が出来るようになっております。
なお、JASRAC等の著作権管理団体が管理していない楽曲については、原則どおり、著作権者の個別利用許諾が必要となりますので、その点に関する注意が必要です。管理楽曲でないか否かについては、「J-WID」(JASRAC)、「作品検索データベース」(NexTone)等のデータベースで検索できます。
広告目的複製の許諾について
ただ、広告主の名称・商品・商品名・商標・標語、企業形態、企業内容、企業イメージ等を広告主が必要とする間、広く一般に知らしめるため、広告主の発意により制作する広告、広報、又は意見広告等に利用することを目的とするような場合、「広告目的複製」となります。そのような利用の仕方をする場合は、JASRAC等に連絡を取って、許諾及び使用料の支払いが必要となります。
原盤権について
ただ、楽曲の音源を利用する場合には、楽曲の著作権の他、音源に関する権利(「原盤権」と俗に言われています)に関する利用許諾を得る必要があります。レコード製作者の権利、実演家権がこれに該当します。こうした原盤権については誰が有しているのかは外部から分かりづらいですが、通常は、レコード会社が原盤権を有していることが多いです。そのため、原盤権に関する利用許諾を得るには、レコード会社に連絡をすることから始めるのが良いかと思われます。
まとめ
JASRAC等の著作権管理団体は、YouTubeやTikTok、Instagram等の特定の動画投稿サイトと包括的な利用許諾契約を締結し、各投稿者が個別の許諾を得ずとも著作権管理団体が管理する楽曲を含む動画を投稿できるようにしています。しかしながら、著作権管理団体が管理していない楽曲を使用する場合はその個別に利用許諾を得る必要があります。また、特定の企業や商品、サービスについて宣伝する動画には、別途広告目的複製の許諾と使用料の支払を行う必要があります。そして、音源利用に関しては原盤権者の許諾が必要となり、レコード会社等に連絡を取る必要があります。
※この記事は、2024年11月8日に作成されました。