SNS上で当社経営層について事実無根の悪口を書かれた投稿が拡散しました。
まずは事実確認を
事実関係を把握することは、投稿に対する対応方針を検討するための重要なステップです。投稿の対象者からヒアリングを行いましょう。今回の投稿で言えば経営層の方々から暴力団との関係性があるかどうかについてヒアリングをし、事実かどうかを調査します。事実確認を怠ると誤った対応策を講じたり、企業に対する信頼性が損なわれたりするリスクがあります。事実確認の結果、当該投稿が全くの虚偽であった場合、次のように対応していくことになります。
投稿に対する法的な対応
投稿の内容が事実無根である場合、当該投稿は相談企業に対する名誉毀損などの権利侵害を構成する可能性があります。
まず、権利侵害が認められる投稿について、サイト運営者に対して当該投稿の削除請求を行うことが考えられます。投稿の削除により誤情報が人々の目に触れる機会を減らし、さらなる拡散を防ぐことができます。もっとも投稿が大量に拡散されてしまった場合、当該投稿のみを削除したとしても、事態が好転するとはいえません。
もう1つ考えられる法的な対応としては、投稿者に対して民事・刑事の責任を追及することです。投稿者へ責任追及する前提として、まずその投稿を誰が書き込んだのかを特定する必要があります。投稿者を特定するためには、サイト運営者や通信会社に対して投稿者に関する情報開示を求める発信者情報開示請求を行いましょう。発信者情報開示請求は、任意の交渉で応じてくれるプロバイダもありますが、多くのケースでは裁判所に発信者情報の開示を求めて申立を行うことになります。
発信者情報開示請求の結果、投稿者が判明した場合には、当該投稿者に対して、民事上では損害賠償請求、刑事上では刑事告訴をして法的責任を追及していくことになります。
刑事告訴は、必ずしも投稿者を特定してすることが要件ではありませんが、投稿者が判明していない段階で告訴をしても、捜査機関が受理してくれないことが多いといえます。刑事告訴を進める場合であっても投稿者の特定を先行させるとよいでしょう。
対外的対応
法的対応と並行して、対外的措置を講じることも重要です。投稿によって企業や顧客が相談企業の商品の購入を敬遠したり今後の取引を停止したりすることも懸念されます。相談企業としては公式ウェブサイトやSNSアカウントを通じて、投稿が事実無根であることや法的措置を検討していることなどの公式声明を発表することで、より広範な層に対して迅速に正確な情報を伝達し、被害を最小限にとどめるよう努めます。
まとめ
現在ではマスメディアだけではなく、個人アカウントの投稿がきっかけで企業の信頼が失墜し、その運営存続を脅かされるおそれがあります。
事実無根の投稿に対しては、投稿に対する法的対応と、顧客や取引先に対する対外的な対応という二つの観点から問題解決を図りましょう。
※この記事は、2024年7月2日に作成されました。