SNSでの広報活動で炎上しないためのポイントを教えてください。
SNSを使った広報戦略の有用性
SNSを使った広報は、従来のマスメディアを利用した広報に比べて低コストで顧客との距離も近く、即時性や拡散性が極めて高いといったメリットがあります。適切な戦略のもと継続的に情報発信を行うことで、貴社の認知度向上や顧客とのエンゲージメント強化につなげることが期待されます。
他方、SNSを使った広報戦略においては、匿名性・直接性・容易性・即効性・独善性・拡散性・集団極性化といった性質を意識した戦略が必要です。
以下では、SNSの利用にあたって意識すべき法律違反行為と炎上の仕組みを確認した上で、指針作成のポイントをご説明します。
法律違反行為を意識する
SNS発信によって抵触する法律違反行為のうち代表的なものを列挙します。
炎上の仕組みを意識する
「令和元年版 情報通信白書」によると、炎上の確認経路(複数回答)のトップ3は以下です。
① テレビのバラエティ番組(58.8%)
② ネットニュース(36.5%)
③ テレビのニュース番組(33.2%)
SNSでの発信がマスメディアで取り上げられて認知され、それがSNSで拡散されるという連環によって、炎上が指数関数的に増大することが指摘されています。そのため、この連環にはまらない発信を意識することが重要です。
バラエティやニュースで取り上げられやすいのは、法律違反行為のほか差別的表現(ルッキズム、性差、LGBTQ)や極端な意見です。これらは、匿名の炎上参加者の独善的な正義感を刺激し、集団極性化して拡散する燃料となります。
また、時事ネタに安易に乗っかると、ネタ元から延焼することもありますので、時事ネタの使い方には注意が必要です。
指針作成のポイント
まずは法律違反行為をさせないようにすることが出発点です。指針には、考え方だけでなく具体例を豊富かつ一読了解な分量で掲載するとともに、定着のための定期的な研修とフィードバックが必要です。指針作成、研修やフィードバックには、リスクマネジメントに長けた弁護士等の専門家のチェックを受けていただくことをお勧めします。
差別的表現や極端な意見、時事ネタについては、アンテナと感度を高くすることが重要です。そのためにはSNS担当者をチーム化することで、SNS担当者の独善的・主観的な判断を避け、相互監視と客観化を図ることが必要です。さらに、できるだけ多様な年代と性別の目線でチェックすることができれば安全性が高まりますので、発信前にそのようなチェックが働く仕組みが有益です。
適切な戦略によって貴社の認知度が向上し、顧客とのエンゲージメントがより強化されることを心から願っております。
※この記事は、2024年2月7日に作成されました。