ソースコードは著作権で保護されるのでしょうか?
ソースコードとは
ソースコードとは、ソースプログラムともいい、人間が理解し得るプログラム言語で作成されたコンピュータプログラムのことをいいます。ソースコードは、コンパイラー等の翻訳プログラムによって、二進法を基本とする機械語のプログラムであるオブジェクトプログラムに変換されることにより、コンピュータというハードウェアを動かすことができます。ソースコード(ソースプログラム)は、オブジェクトプログラムの元(ソース)になるため、ソースコード(ソースプログラム)と呼ばれています。
プログラムの著作物
「プログラムの著作物」は、著作権法上の著作物に該当します(著作権法(以下「法」といいます。)10条1項9号)。そして、ここでいう「プログラム」とは、「電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう」とされています(法2条1項10号の2)。
プログラムは、昭和60年の法改正で新たに著作物として加えられました。そもそも、プログラムはプログラム言語という言語に則って表現されているため、「言語の著作物」(法10条1項1号)にも該当し得ますが、プログラムは機械に特定の機能を果たさせるための指令であって人間に対しての直接の情報伝達を目的としていないことから、「言語の著作物」とは別に保護する必要があるとして著作物の1つに加えられたものです。
ソースコードは著作権法による保護対象となるか
ソースコード(ソースプログラム)は、オブジェクトプログラムに変換されることによってコンピュータを動かすことができるプログラムですので、法2条1項10号の2にいう「プログラム」に該当します。ただし、「プログラム」が全て「プログラムの著作物」に該当するとはいえず、「プログラムの著作物」に該当するためには、言語、音楽等のその他の表現と同様に「著作物性」が必要となります。
プログラムの著作物性について、知財高裁平成29年3月14日判決は、「プログラムの著作物性が認められるためには、指令の表現自体、同表現の組み合わせ、同表現の順序からなるプログラムの全体に選択の幅が十分にあり、かつ、それがありふれた表現ではなく、作成者の個性が表れているものであることを要する」と判示しています。すなわち、プログラムといえど著作物性が認められるためにはプログラマーの個性が反映されていることが必要であり、誰が作成しても同一となるような表現やありふれた記述については著作物として保護されないことになります。そのため、著作物性のあるソースコード(ソースプログラム)については、著作権法による保護対象となります。
まとめ
これまで述べてきたとおり、ソースコード(ソースプログラム)は、著作物性が認められる場合には「プログラムの著作物」として著作権法による保護を受けることができますので、貴社の開発するソフトウェアのソースコードについて、プログラマーの個性が反映されている場合には、著作権法による保護対象となります。ただし、ソースコードの著作権が確実に貴社に帰属するかどうかは外注先との契約内容によって変わりますので、その点の確認も怠らないようにしてください。
※この記事は、2024年6月6日に作成されました。