広告にタレントを起用する際、契約上どこに気を付けるべきでしょうか?
タレントを用いた広告の効用とリスク
人気のある旬のタレントを広告に起用すると、製品や会社の知名度を一気に上げることが可能です。しかし、タレントも生身の人間であり、しかも芸能界は浮き沈みが激しく誘惑も多い世界です。そこで、広告に出演したタレントがスキャンダルを起こすと、それに巻き込まれ製品等のイメージがダウンするリスクがあります。
広告出演契約の法的性質
広告出演契約におけるタレントの債務の内容は、広告に出演することです。そこで、タレントの側としては広告に出演すれば原則として義務を履行したことになります。しかし、広告は、タレントの持つ顧客誘引力を最大限使い、製品の知名度を上げイメージアップを図ることにありますが、広告出演後に、不倫や薬物の使用疑惑などのスキャンダルが生じると今度はマイナスのイメージが製品にも及びます。また、広告を放映等している期間中にライバル会社の製品の広告に出られることもマイナスの効果が生じます。
広告出演契約を締結する際のポイント
単に広告に出演する旨について合意するだけでは上記のようなリスクに十分に対応することができません。そこで、付随的義務として製品や企業のイメージや信用等にダメージを与えないことも定める必要があります。具体的には製品のイメージを毀損するようなスキャンダル等が発覚した場合には違約金を支払う等の条項を契約書に入れておく必要があります。
また、競業他社の広告に、出演した広告が放映等されている一定期間内には出演しないことも、その旨の合意をしないと当然には認められません。これまでは、芸能界の当然の慣行として競業他社への出演は自己規制されていました。しかし、今日においては自らが立ち上げた新しい芸能事務所に所属するユーチューバーなど、これまでの芸能プロダクションとは無縁なタレントもおり、芸能界の不文律に任せてはいられない状況が生じています。そこで契約書に明記しておく必要があります。
まとめ
タレントは顧客誘引力や知名度を有していますが、その一方スキャンダルや競業他社の広告への出演等のリスクも有しています。そこで、タレントを広告に用いるにあたっては、製品や企業のイメージを毀損せず、一定期間は競業他社の競合する製品等の広告には出ないなどの付随的義務と違反した場合の損害賠償等の条項を契約書に定めることに留意する必要があります。
※この記事は、2024年7月1日に作成されました。