家賃を滞納している入居者に未払い分を請求したいです。
賃貸物件の立退き請求フロー
賃貸不動産について賃料の滞納が続いて立退きを請求する場合、まずは賃貸借契約を解除すること、および立退きを請求することを記載した内容証明郵便を発送するところから立退き請求のフローが始まり、以下の流れで進みます。
① 示談交渉
② 訴訟提起(和解)
③ 訴訟提起(判決)
④ 強制執行
この内容証明郵便ですが、後に賃貸借契約の解除の意思表示を行った事実や立退きの請求を行った事実を立証するための証拠を作成する趣旨で送ります。そのため 当初の段階で確実に送るようにしましょう。
示談交渉で立ち退きをしてもらうためのポイント
賃料とは衣食住のうち「住」に対応するコストであり、人間が生活する上で必要不可欠なコストです。そのためそれが支払えない入居者の多くは、経済状況的に支払うことが不可能なケースが少なくありません。 その場合、実際に立退きを請求しても、引っ越し費用や新居の初期費用を支払えないため、示談交渉が成立しないケースが多いものです。そこで、オーナー側が経済状況に適した引っ越し先を探してあげたり、引っ越し業者費用を負担してあげたりするなど、入居者の経済状況でも立退きを実現できる現実的なフォローがどこまでできるかが立退きを実現するためのポイントとなります。
訴訟で立ち退きをしてもらうためのポイント
訴訟における立退き請求では、賃料を支払っていない以上、立退きが認められるケースが大半です。となると、入居者としても判決まで行っても意味がないため、和解において早期に解決を図ろうとするのが裁判官の思考回路となります。上記の示談交渉段階では、あくまで当方と相手方という対立構造のため、入居者が素直に話を聞いてくれないケースも多いです。しかし裁判所における和解では、中立的立場として裁判官が入居者に現実を直視させながら実現可能性のある立退き方法を一緒に考えます。となると、入居者としても話を聞く耳を持ち始めますので、示談交渉で話が進まない場合には訴訟を提起して裁判官に説得してもらうのも一つの選択肢でしょう。
次に、和解でも解決しないときは、仕方ないので裁判官に判決を出してもらうことになります。この判決が出てしまえば、入居者としては強制執行されても文句の言えない立場になりますので、開き直る人も多いです。しかし、強制執行で立退きをさせた場合、強制執行を対応する業者費用で数十万円かかり、これは最終的に入居者へ請求することになります。そのため判決が出た時点で、強制執行より前に任意で立退きした方が良いですよと説得することとなります。
強制執行で気を付ける点
強制執行となると、申立て費用・弁護士費用・業者費用などで50万円以上を要するため、収益不動産の生産性が著しく低下することとなります。したがって、いかに早期に任意で立退きを実現させられるかを重視したいところです。
まとめ
賃貸経営を事業として行っているオーナーとしては、適切な賃料収入を回復するために、示談交渉の段階で多少の費用がかかっても、できるだけ早期に退去してもらうことがポイントになります。
※この記事は、2023年11月17日に作成されました。